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GoogleやIBMなどが能力開発に取り入れている「マインドフルネス」とは?日本の製造業を創造業に変える! マインドフルネス(1)(1/2 ページ)

「マインドフルネス」をご存じだろうか。「念」や「気付き」に由来するそのトレーニング法が注目され、近年ではGoogleやIntel、IBMといった世界的企業がビジネスパーソンの能力開発に活用している。何かに行き詰まった思考から抜け出し、自分自身の能力を最大限に引き出すマインドフルネストレーニングについて解説する。

» 2018年11月30日 09時00分 公開

新たなビジネス創造の潮流の中で日本の影は薄くなっている……

 新事業創造の代表的指標として「ユニコーン」と呼ばれる上場予備軍の新興企業数の動向がある。米調査会社CBインサイツの調べ(日本経済新聞2018年6月13日発信)によると、世界にユニコーン企業は240社あり、米国企業が116社、中国企業がそれを猛追し71社に上るという。日本は「メルカリ」の他、人工知能(AI)開発の「Preferred Networks」や健康器具“SIXPAD(シックスパッド)”を手掛ける「MTG」などごくわずかだ。

 新事業創造の名著『ブルー・オーシャン戦略』の著者チャン・キム教授が、同著の実践本『ブルー・オーシャン・シフト』の出版を機に来日した。彼は世界屈指のビジネススクールINSEAD(インシアード)で経営学を教える世界の経営思想家ランキング50人の1人である。テレビ東京の独占インタビューに際して(テレビ東京2018年10月30日放映「Newsモーニングサテライト」)次のように語っている。

著書『ブルー・オーシャン・シフト』を最も必要とする国は日本であると思います。1970年代から80年代、日本は世界第2位の経済大国になりました。しかし、それは製造業の時代の話。今はデジタルの時代になり、世界は、Google、Amazon、Appleなどが席巻し、日本は今後どこに進むべきか悩んでしまいレッドオーシャンの時代になっているのです。日本はシリコンバレー型ではなく、独自の強みを生かした形でイノベーションとクリエイティビティーを追求すべきと思います。日本は小さな国ですが、秩序のある国で調和を重んじる特徴を持っています。イノベーションとクリエイティビティーは人の調和も大切なのです。日本は、製造業時代に実現したブルーオーシャンがレッドオーシャンになっていく中で、新たなブルーオーシャンにシフトしていく時期に差し掛かっているのです。


 こうしたコメントを踏まえ、「どう動き始めるのがよいのか?」「日本人の秩序と調和をいかに生かすべきか?」――。筆者は、経営視点を持ち合わせたヒューマンスキルの専門家として、次のように考えている。

「全ての可能性は、人間の中にある」という前提の下、「新事業、広く捉えれば新しい価値を創造するためには、現在の秩序と枠組みを捉え直すこと。そのためには、まず、その人自身の才能を最大限に引き出す方法をヒューマンスキルとして理解し、意図的に使えるようになることだ」。「日本が得意としている“モノづくり”で新しい価値を創造するためのヒントは、人間の中にまだまだある」。

「自分は、人間として持ち備えた能力を十分生かし切った生き方、仕事をしているのだろうか?」。そして「今まで自分が考えていた(とらわれていた)“秩序”とは何か?」「現状の課題を解決した先(近未来社会)にある“調和”とは何か?」。


 まずは、上記の視点を自分自身に、そして、その視点を周囲に、世界に向けていくところに創造が生まれる余地があるのではないか? このようなテーマは普段なかなか考える時間もないと思うが、年末年始に振り返るいい時期なので、立ち止まって考えてみていただきたい。

自分自身の能力を最大限に引き出す方法とは?

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