IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する(7)
ガラパゴス化した制御システムに風穴を開けるソフトウェアPLC(1/2 ページ)
「IIoT(Industrial IoT)」を実現させ、新たなモノづくりを創造するためには、現状の生産設備の在り方を見直す必要がある。今回は、コンテック 執行役員 グローバル営業本部 本部長の西山和良氏との対談を通じて、日本が目指すべきモノづくりへの取り組みや課題について紹介する。
これまで、生産設備の在り方について、さまざまなアングルから解説してきた。大きくは、「1社のメーカーに全ての機器を依存しているという日本のモノづくりの現状」「生産設備の制御をつかさどるPLCのプログラミング部分が『ラダー言語』に大きく依存している実態」「保守・管理の効率を向上させるために求められる、生産設備に対する考え方のパラダイムシフト」についてである。そして、そのパラダイムシフトの必要性に基づき、新たなモノづくりの創造にチャレンジしている企業の取り組みも紹介してきた。
今回は“IIoT”をキーワードに、計測制御や遠隔監視システムのイノベーションをユーザー企業に提案しているコンテック 執行役員 グローバル営業本部 本部長の西山和良氏に話を聞いた。
産業用PCの領域で成長を遂げてきたコンテック
PCの普及とともに成長してきたというコンテック。PCの手軽さを産業用機器の制御にいち早く取り入れるという先見性で、業界をリードしてきた。
筆者(村上) コンテックの成り立ちを教えていただけますか。
西山氏 コンテックは1975年、世界で1、2を争うマテリアルハンドリングメーカーであるダイフクから、電子機器分野において新たな事業に挑戦する目的で、社内ベンチャー企業として設立されました。コンテックという社名は、“電子を使ったコントロールテクノロジー”という思いが込められています。
筆者 1975年といえば、PCが世の中に登場し始め、これから大きなムーブメントが巻き起こるという時期ですね。
西山氏 当社は、そのPCの手軽さをFAの現場に生かすことができないかと考え、それ以降、多種多様なセンサー・フィールド機器に対応した計測制御用の拡張ボードを提供しています。PC内部にI/Oの装置や通信ボードを組み入れて、産業用PCとして提供してきました。今では、FA制御をはじめ、各種の社会インフラ設備、太陽光発電などのエネルギー関連設備、物流設備といった、PCベースで制御する分野で市場をリードする企業にまで成長しました。
IIoT実現の課題である“つなげる”部分を解決する「CONPROSYS」
産業用PCやその周辺機器の分野で成長してきたコンテックであるが、2016年からさまざまな産業界で利用できるIIoTソリューションデバイスとして「CONPROSYS(コンプロシス)」の提供を開始した。その背景には、産業界におけるIIoTに対するニーズの高さがあったという。
筆者 産業用PCの分野で活躍していたコンテックが、IIoTソリューションデバイスとしてCONPROSYSを開発するに至ったのはなぜですか。
西山氏 インダストリー4.0の流れが一気に広まり、企業はIIoTに注目し始めました。この流れを早い段階で捉え、IIoTを実現する上で課題となっている“つなげる”部分を解決するソリューションとしてCONPROSYSを開発したのです。デバイスシリーズでは、センサーやアクチュエーターに接続して、データを収集する「M2Mコントローラー」シリーズや、既存のPLCに接続することで、PLCで電子制御している機器類のデータを簡単に取得できる「M2M Gateway」シリーズなどがあります。いずれも標準通信規格であるOPC UAを採用し、M2M GatewayシリーズはマルチベンダーのPLCに対応しています。いずれのシリーズも既存設備を含めたさまざまな機器類をつなぎ、クラウド環境でデータの管理を行うという、IIoTを簡単に実現できるソリューションデバイスです。また、ソフトウェアPLC「CODESYS」を内蔵したリアルタイム制御エンジンとして「PACシリーズ」も提供しています。当社の製品は、特定のメーカーに依存せずに、全てオープンな環境でシステム構築ができることを基本に開発されています。このように、工場の他、社会インフラやエネルギー産業、物流など、さまざまな産業界におけるIIoTの実現をサポートするソリューションとしてCONPROSYSを提供しています。
筆者 IIoTデバイスのCONPROSYSはモノづくりの現場だけではなく、さまざまな産業界で利用されているのですね。
西山氏 はい、そのキーワードは“リモートコネクテッド”です。従来は人が行っていた“O&M(オペレーション&メンテナンス)”の分野の業務を、IIoTの仕組みを構築することで、リモートで行えるようにするという取り組みです。
筆者 具体的にはどのような使われ方があるのですか。
西山氏 例えば、コインランドリーの洗濯機に当社のCONPROSYSをデバイスとして付けていただき、コインランドリーのオーナーが洗濯機の稼働状況を遠隔で確認することができる、という仕組みが実際にあります。コインランドリーの利用者には、もうすぐ洗濯が完了するということをメールで通知できます。IoTのメリットをうまく利用している良い事例だと思います。
筆者 ソフトウェアPLCのCODESYSを活用したリモートコントロールの事例もあるのですか。
西山氏 CODESYSを採用したPACシリーズを使った事例としては、例えば、大和コンピュータのメロン農園の自動化があります。これは、高品質なブランドメロンを効率的かつ低コストで栽培するための自動化システムを実現した事例です。メロン栽培における環境情報やメロンの状態をセンシングし、それに応じた水やりなどを行うためのアクチュエーターの制御を行っています。熟練の農家によって蓄積されたノウハウをセンシングとデータ解析による定量化や、栽培段階からのトレーサビリティーを実現することで、品質改善などの大きな付加価値を生み出しています。他にも水処理装置の制御に使うという事例もあります。水処理をするために専用薬品液の注入を制御しながらクラウドにデータ蓄積を行い、注入量などを最適化するような使い方です。
筆者 これまで製造現場の話を中心にIIoTについて語ってきましたが、工場以外でもいろいろと使われているのですね。
西山氏 はい、IIoTはモノづくりの現場に限ったトレンドではありません。産業界全体に広がっていますので、当社の製品の使い方はさまざまです。
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IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する
IoT、インダストリー4.0がこれほどまでに盛り上がり続けるのは、その将来像への賛同だけではなく「現時点で材料となる技術はそろっていて、決して夢物語ではない」と多くの人が感じているためである。日本のモノづくりは改善を重ねることで着実に世界をリードしてきたが、第4次産業革命で求められる非線形なモノづくりの進化をリードしていくためには、「製造現場のガラパゴス化」を解消することが急務だ。本連載では、日本のみならず世界的に盛り上がりを見せるIIoTの技術で製造業はどう変化していくのか、日本の製造業がその変化に追従していくためのボトルネックとなる国内製造業のガラパゴス化について解説する。
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