設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第7回では、「プロジェクト計画書」を作成する上で必要となるやるべき作業の洗い出しと、3D CAD導入による投資対効果について解説する。
前回は、特別編として「SOLIDWORKS World 2017」の現地レポートを紹介しました。現地の空気を肌で感じ、筆者も3D CADから始まる世界観にかなり感化されてきました。そんなSOLIDWORKS World 2017の熱気を勢いに変えて、本筋の3D CAD推進プロジェクトの話を進めていきましょう!
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前々回は、「プロジェクト組織」の特徴やプロジェクトを推進する上での注意点について解説しました。今回は「プロジェクト計画書」を作成します。プロジェクト計画書を作成するに当たり、まず“やるべき作業”を決めていきます。その際、モレなくダブリなく、細かな作業を決めていかなければなりません。「モレなく、ダブリなく」といえば……、そう「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」です(詳しくは連載第4回を参照)。
細かな作業を決めるに当たっては、「WBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)」の作成を行います。WBSは、一覧表やマインドマップを作成してまとめていくことになりますが、まずはこの作業を行うための事前準備を行います。
始めに、作業内容を洗い出します。1人で行わなければならない場合も、プロジェクトチームで行う場合も、この作業内容の洗い出しを行い、これをさらに細分化していきます。ちなみに、細分化された作業のことを「ワークパッケージ」と呼びます。
ワークパッケージを洗い出すためには、ブレーンストーミングやマインドマップが有効です。ここでは「3D CAD推進を行うためには?」という問いに対して、洗い出し作業を行います。筆者の場合、既に1次的なヒアリング(詳しくは連載第3回を参照)を行っていますので、その課題に対してのワークパッケージを洗い出すことにしました。
図2は、3D CADデータが関係するであろう部門における、それぞれの作業についてワークパッケージの洗い出しを行った例(KJ法)となります。突き詰めていくと、さらに細分化する必要のある作業もあるかと思います。さて、今回の例(図2)では、各部門を対象に行わなければならないワークパッケージがあります。それは「ワークフロー分析(ワークフローの調査)」です。
ここから、WBSをより具体的な計画に落とし込めるよう、「時間軸」でレベルを設定してみることにします。
すると、
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