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外付け移相器いらず、SN比が80dBのFM IF検波IC新日本無線 NJW2311

新日本無線は、1.5MHz〜15MHzのIF信号を自動的にFM復調するIC「NJW2311」を発表した。新しい回路方式の採用により、従来必要だった外付け移相器を不要としている。

» 2017年04月07日 12時00分 公開

 新日本無線は2017年3月15日、1.5MHz〜15MHzのIF信号を自動的にFM(Frequency Modulation)復調するIC「NJW2311」の量産を開始したと発表した。


 従来のFM IF検波ICは、1つの信号を90度ずらして復調するクワドラチャー検波方式を用いることが多く、そのためにはコイルやコンデンサー、専用の素子で構成される外付け移相器が必要だ。コイルやコンデンサーのバラつきが大きい移相器では、同調させる周波数が移相器ごとにバラつくため、実装後に周波数の合わせ込みが必要となる。また、FM検波に必須の外付け部品が廃品種になっている現状もあるという。

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 NJW2311では、特許出願中の新たな回路方式を採用することにより、外付け部品として必要だった移相器を不要とした。IFアンプ、FM復調およびローノイズのオペアンプ機能を内蔵し、SN比が80dB、THD(全高調波歪み)0.015%を実現した。

 新日本無線で通信用RF IC担当を務める藤野裕史氏は「SN比が80dB、THD0.015%を実現した製品は競合にも存在するが、必ず外付けで移相器が必要になる。NJW2311は外付けの移相器が不要のため、部品搭載面積の削減が可能だ。これまでは電圧動作範囲が10Vからの製品も多かったが、今回4.5〜5.5Vを実現している」と語る。

 NJW2311の消費電力は23mA(典型値)、パッケージにはSSOP14を採用した。サンプル価格は250円。ワイヤレスマイクやワイヤレスヘッドフォン、インターフォンなどでの活用を想定する。一方で、これらの市場はシュリンク(収縮)している傾向にあるため、藤野氏は「他のアプリケーションも模索していく」とした。

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