京セラはHEMSの新製品「NAVIfitz(ナビフィッツ)」の販売を開始した。夏ごろにアップデートで提供される新機能として、AI(人工知能)を活用し、発電量の予測値や実績値などを分析して最適にエネルギー機器を制御する機能も提供する。
京セラは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の新製品「NAVIfitz(ナビフィッツ)」を開発し、このほど販売を開始した。新製品には、2017年夏以降、新たにAI(人工知能)を活用した「おまかせ運転モード」を無償アップデートする予定だ(図1)。
経済産業省は、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を目指すという方針を示し、ZEHの実現と普及促進に取り組んでいる。また、固定価格買取制度(FIT)による電力買取価格が低下し続ける一方で、電力料金上昇の懸念、災害時の電源確保、環境意識の高まりなどから、今後は電力の自家消費を目的とした太陽光発電システムや蓄電システムの導入が進んでいくと考えられている。
自家消費型住宅の場合、太陽電池で発電した電力を蓄電システムに蓄えたり、エコキュートで湯を沸かしたりなどして、エネルギーを効率的に利用することが必要だ。HEMSは、住宅内のエネルギー需給を見える化するとともに、各種機器を制御し、効率的なエネルギー利用を支援する上で不可欠なものであり、その役割は一層重要になっている。
そこで京セラでは、AI機能を活用し、太陽電池の発電状況や電力消費状況に応じて、機器を自動制御するHEMSの新製品ナビフィッツを開発した。
新製品は利用者のライフスタイルや目的に合わせたモード選択ができるところが最大の特徴だ。このうち今後アップデートによる提供を予定しているおまかせ運転モードは、天気予測や電力消費パターンから、翌日の電力消費量や太陽電池の発電量を予測し、蓄電システムの充放電、エコキュートの沸き上げ計画を立案、機器を自動制御する。また、計画と実行状況の変化を検知し、リアルタイムに補正するとともに、結果の差を学習することで計画精度の向上を図る。これらAIによる自動制御により利用者の手をわずらわせることなく、効率的なエネルギー利用の実現に貢献することを目指す。
さらに、太陽光発電で創った電気をできるだけ家庭内で消費する「自家消費モード」、売電を優先する「太陽光売電モード」、各機器の制御時間帯を手動で設定する「タイマー設定モード」なども備え、利用者の幅広いニーズに対応する。この他外出先から電力の使用状況の確認や機器の遠隔操作も可能だ。今後は「ECHONET Lite」に対応する家電製品を対象に、接続可能な機器を広げていく。
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