NIDays 2016 講演レポート
IoTシステムの構築は「計測」なくして語れない! ~オンライン状態監視システムの構築事例から学ぶ~(2/4 ページ)
課題に対する解決策は? 計測なくして始まらない!!
ここからは、前述した課題に対する“解決策”について、イー・アイ・ソルの考えを紹介していこう。
まず、「IT技術者が少ない」「IT技術者が自社にいない」という課題に対してだが、平澤氏は「自社で技術者を一気に増やすのは現実的ではないので、専門業社と共同で進めるのがIoTシステム構築の近道だろう。例えば、データの計測・解析・分析はそれぞれ専門分野に当たる。これを自社だけでやろうとするのは難しく、それではプロジェクトの進行が滞ってしまう」と説明する。IoTをいち早く導入し、業務改革や新たなビジネスモデルの創造を図り、競争力を高めたいと思う企業が多い中、スピード感をもってプロジェクトを推進し、成功に導くことが求められる。企業規模などにもよるが、ケースによっては平澤氏の指摘の通り、専門業社と組んで取り組むという選択肢もありだろう。
さらに「どこから始めたらよいか分からない」「市販のソフトが自社に適しているか分からない」「何が正解か分からない」といった悩みを抱えているケースも多くある。実際、トップダウンで「とにかくIoT活用して成果を出せ!」と迫られている方も多いのではないだろうか。こうした課題に対して平澤氏は、「何を始めるにも『計測データ』がなければ何も進まない。まずは『計測すること』から始めることが重要だ」と指摘する。現状の課題がハッキリしていない、課題解決のために何を改善しなければならないか見えていない……。そんな状態では、どこから着手してよいか分からないのも当然だ。まずは現状をつかむこと。課題を把握するためにも計測することから始めるべきだというのが平澤氏の考えである。
また、「感応評価/検査を機械化・自動化したい」というニーズもあるという。例えば、これまでベテラン技術者が自身の耳で異音を感じとって、加工機のメンテナンスなどを行っていたが、これでは属人的であり、ノウハウの共有・伝承が困難である。IoT技術でこれを機械化・自動化したいという場合は、「最初は計測データを取るところから始め、それがOKかNGかを感応評価担当者に判断してもらい、データとひも付けを行う必要がある。こうしたケースも結局のところ『計測』しなければ始まらない」(平澤氏)という。
もう1つ、こんなケースもよくあるという。それは計測してみたものの「NGがなかなか発生しない」という問題だ。頻発するものであれば、OKの状態とNGの状態を計測して、そのデータを比較すればよい。しかし、品質レベルの高い日本の生産現場ではNGが出るケースが極めて低い。「そんなときは、『OK範囲』を決めることだ。われわれは“この範囲を超えたらNG”と考えるアプローチを提案している。実際、それでデータを取ってみて、担当者が『OK範囲を越えたが、これはNGではない』と判断したらOK範囲を広げて精度を高めていけばいい」と平澤氏。
IoT導入がスムーズに進むケースとは?
では逆にどんな状態であれば、IoT導入がスムーズに進むのだろうか。平澤氏は実際の導入実績を例に、スムーズに計測から診断まで進んだケースを3つほど紹介した。
1つは、顧客側で検討された解析アルゴリズムが既にある場合だ。「その解析アルゴリズムがDLLで用意されていれば、それをLabVIEWに組み込んで、結果を出すことも可能だ」(平澤氏)という。
2つ目は、市販ソフトで解析を行うと始めから決定している場合だ。このケースでは、測定データを市販ソフトに渡すまでを実現できればよいため、「計測からデータベース製作までを行った」(平澤氏)。
そして3つ目が、測定データをExcelで解析してオフラインで診断しているケースだ。この場合、既に解析のための計算式が存在しているため、それをLabVIEWで作り込んで、オンライン化させることも可能だという。
「特に、顧客側で何らかの解析アルゴリズム(あるいは計算式)が用意されていると、IoT導入はスムーズに進む。こうした顧客は自身でたくさんの実験・テストを行ってデータを計測し、その結果に基づいて、解析アルゴリズムを導き出しているはず。このことからも“計測することの重要性”が分かると思う」(平澤氏)。
ここまでの平澤氏の言葉からも分かる通り、IoT導入をスムーズに進めるには、何よりも「テスト・計測から始めること」が大切であるという。そして、IoTシステムの構築には、さまざまな専門知識や技術が必要となるため、「専門業社とプロジェクトを進めること」(平澤氏)が重要だと強調した。
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