過去1カ月間のエレクトロニクス関連企業の動向をピックアップしてお届けする「企業動向を振り返る」。2016年9月は、オンセミによるフェアチャイルドの買収が完了し「世界初のICメーカー」が消滅するなど、引き続き大きな動きがありました。
2016年9月のエレクトロニクス関連企業の話題として最も大きなものは、オン・セミコンダクター(ON Semiconductor)によるフェアチャイルド・セミコンダクター(Fairchild Semiconductor)の買収完了かと思います。買収に伴いフェアチャイルドは上場廃止となり、オンセミの完全子会社となります。
トランジスタを開発したショックレー・トランジスター・コーポレーション出身の8人が設立したフェアチャイルド・セミコンダクターは「世界初のICメーカー」とも呼べる企業であり、そこから多くの人材が羽ばたきました。買収完了後、「フェアチャイルド」のブランドは残さないことが明らかにされており、感傷的ではありますが、寂しさの残る結末となりました。
日本国内に目を転じても、既に経営統合を発表していた豊通エレクトロニクスとトーメンエレクトロニクスが新社名を「ネクスティ エレクトロニクス」と発表しました。新会社の売り上げ規模はエレクトロニクス商社としては国内トップに位置し、世界的に見てもトップ5に入ります。また、車載エレクトロニクスの分野を見れば、Avnetやリョーサン、萩原電気などを抜いて売上高3000億円の世界一企業となります。
このように近年のエレクトロニクス業界にはM&Aの嵐が吹き荒れており、その背景には業界全体の成長減速、流入する資金の減少、利益率の減少などが挙げらます。そしてその動きはまだ収まらないとの観測があります。2015年に発表されたM&Aに端を発する反応がまだ収まっていないという見方です。
この見解が正鵠を得ているかどうかは分かりませんが、エレクトロニクス業界のM&Aはまだ収束する気配を見せていないという意見には賛同する方も多いのではないでしょうか。
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