ルネサス エレクトロニクス G8Hシリーズ
電力変換ロスを大幅削減する第8世代IGBT、太陽光発電やUPSシステム向けに
ルネサス エレクトロニクスは、太陽光発電のパワーコンディショナやUPSシステムのインバータ用途向けパワー半導体として、電力変換損失を極小化し、システムの電力効率を向上する第8世代IGBT「G8Hシリーズ」を発表した。
太陽光発電システムでは、太陽光によって集められた直流(DC)の電流を交流(AC)に変換するインバータ回路を通過する際、電力損失が発生してしまう。特に、パワーデバイスの電力損失が大半を占めており、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の電力損失を少なくすることがユーザーシステムの発電性能に直結する。
また、サーバルームやデータセンターなどで使用されるUPS(無停電電源)システムでは、停電が発生していないかをチェックするため、電力は常に電力変換回路を経由しなければならず、稼働しているだけで定常的に電力損失が起きている。この電力損失をいかに低く抑えことができるかも、IGBTの性能が大きく影響する。
こうしたニーズに対し、ルネサス エレクトロニクスは2016年3月10日、太陽光発電のパワーコンディショナやUPSシステムのインバータ用途向けパワー半導体として、電力変換損失を極小化し、システムの電力効率を向上する第8世代IGBT「G8Hシリーズ」を新たに製品展開すると発表した。
前世代IGBT比で性能指数が最大30%改善
G8Hシリーズには、同社が培ってきた電力変換分野における低損失IGBTの設計ノウハウが生かされている。プロセス構造に独自のトレンチゲート構造を採用することで、IGBTの性能指標となる高速スイッチング特性の向上と、飽和電圧Vce(sat)の低下による導通損失の低減を両立させることに成功した。第8世代IGBTであるG8Hシリーズは、従来の第7世代IGBTと比較して性能指数を最大30%改善。ムダな電力損失を削減させたことで、ユーザーシステムの電力効率の向上に貢献できるとする。
また、G8Hシリーズは高速スイッチング性能と相反する低ノイズ特性を実現。これにより従来ノイズの低減に必要とされていた外付けのゲート抵抗を削減できるようになった。さらに、市場ニーズに応え、高温175℃を保証し、高放熱特性である「TO-247」パッケージを採用。そして新たに、75A大電流帯の単体パッケージ「TO-247 plus」品を製品化し、高温・高放熱パッケージでセットの電力容量向上を実現できるとしている。
G8Hシリーズは、650V/40A、50A、75Aの3製品、1250V/25A、40A、75Aの3製品で計6製品のラインアップ用意しており、さまざまなインバータ回路方式、出力容量に応じて製品を選択できる。
サンプル出荷は2016年3月10日から順次開始。サンプル価格(税別)は650V/50Aの「RBN50H65T1GPQ-A0」が330円/個である。量産は2016年9月より開始し、2017年3月には月産60万個を計画している。
今回の新製品G8Hシリーズは、インバータ用途以外にも、第8世代IGBTの高速スイッチング性能を生かして、コンバーターなどの昇圧回路においても、高い性能を発揮。今後、同社はIGBTを家電/産業用途の重要部品と位置付けており、他の家電機器向けや産業用途向けに順次、G8Hシリーズをリリースする予定だ。また、同社のマイコンなどと組み合わせた最適な産業機器向けソリューションも併せて提供していく方針だという。
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