大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
TSMC、Samsung、Intelが明らかにした次世代半導体プロセスの展望(2/3 ページ)
Samsung――2025年に2nmを、2027年に1.4nmを量産開始
Samsungは2023年6月27日にSFF(Samsung Foundry Forum) 2023を開催した。Samsungは昨年GAAを採用した3GAE(3nm GAA Early:その後SF3Eに改称)の量産開始を発表、GAAの実用化ではTSMCに先行している形ではあるが、ただこれは“Early”の文字が示すように先行開発版というか初期版であって、広範に量産製品に使う事を目的としたものではないと考えて良さそうである。本番となるのはこれに続くSF3(旧3GAP:3nm GAA Performance)と、その翌年に投入されるSF3P(3GAP+)で、こちらは量産製品をターゲットにしたプロセスとなる。
そんな訳で来年投入されるSF3であるが、2023年6月11日から京都で開催されていたSymposium on VLSI Technology and CircuitsにおいてSamsungはこのSF3の詳細を開示している。
今回の説明は同じGAA構造のSF3EとSF3の比較ではなく、FinFET構造のSF4とSF3との比較となっている訳だが、例えばセルサイズはSF4と比較して同等あるいは縮小可能であり(図1)、PPA(Power, Performance, and Area)Optimizationに関してもずっと柔軟性が高く、しかも動作周波数が大幅に向上するとしている(図2)。
この講演の中ではGAAの構造構築の難しさについても説明があり(図3)、これへの対処としてSoft Metal Gate Removal(図4)やMOL(Middle-Of-Line)プロセスの改良(図5)、およびDTCOの利用(図6)などでこうした問題を解決した、とする。
SamsungはこのSF3が同社の3nm Platformだと位置付けており、2024年の量産開始に向けて順調に進んでいるとしている。これに加えてSFF 2023で公開されたのが、
- 2nmプロセスとなるSF2はまず2025年にMobile向けに量産を開始。2026年にはHPC向け(これは恐らくSF2Pとされていたプロセス)、2027年には自動車向けも提供開始(これは今回初公開)の予定
- SF2はSF3と比較して12%の動作周波数向上か25%の省電力化が可能。トランジスタ密度は5%向上(今回初公開)
- SF1.4は2027年量産開始(これは以前もアナウンスがあった話で、今回あらためて明言されなおした)
といったあたりの話である。少なくともVLSI Symposiumでの説明はSF3が順調に開発が進んでいると考えるに十分な根拠であり、既に第1世代のSF3Eが量産に入っている事を考えると、SF3そのものは(Yieldがどの程度か、という問題はあるにせよ)割と順調に立ち上がる気配を見せている。TSMCのN2に先駆けて2024年にGAAの量産プロセスをスタートするのは確実なところで、後はどの程度の顧客をTSMCから奪えるか、というあたりが今後の焦点になりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
6
DMG森精機の欧州深耕
-
7
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
8
太陽光発電と蓄電池を最適制御、再エネ活用とコスト削減を両立する製品とは?
-
9
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
10
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー