大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
ウルトラ高性能な「Apple M1 Ultra」の謎(2/4 ページ)
ところが信号速度の高速化やダイ内部の広帯域化などに伴い、もっと多数のピンを出して複数のダイを密結合的に使いたい、というニーズが出てきた。これにあわせて、パッケージとダイの間に微細配線を行えるインターポーザ(ダイと同じ作り方をするのでシリコンインターポーザと呼ぶ)と呼ばれる中間層を追加。ダイとインターポーザはMicroBumpと呼ばれる微細なBallを使う事で、配線密度を10倍以上に引き上げた(図3)。Half Line Pitch、つまり(Ballの直径+配線幅+配線間隔)×0.5の数値の変遷がこちら(Photo01)。この数値は一つの指標で小さいほど配線本数を増やせるが、通常の図2だと1mm当たり50本程度が限界なのに対し、シリコンインターポーザを使うと500本程度が見込める計算になる。
このシリコンインターポーザを三次元的に拡張したのがTSMCのInFO、あるいはIntelのFoverosで、複数のインターポーザの間にTSV(シリコン貫通電極)を挟む形で立体構造にしたものである(図4)。
これをさらに進めたのが、直接ダイの中にTSVを埋め込み、これを利用して複数のダイを直接積層するという技術である。TSMCのSoIC、あるいはIntelのFoveros Directがこれに相当する技術だ。Foveros Directはまだ「将来の技術」であって現在はまだ利用できないが、SoICの方はAMDの3D V-Cache搭載のMilan-X、それとGraphcoreのBOW IPUでそれぞれ実用化されており、Milan-Xの方は既に出荷も始まっている。
さて、話をM1 Ultraに移す。Appleの公開した写真の赤枠部分は、確かに2つのM1 MAXのダイを接続するI/Fに見えなくもない。
この構造だと、恐らくはTSMCのCoWoSを使っての実装になりそうに「見える」。ちなみにCoWoSだとすると、ベースとなるのはCoWoS-Sであろうが、Photo01で示すようにM1 Maxは縦に長い。CoWoSも通常のダイと同じく、露光を使って配線層を構築する関係で、Reticle Limit(露光できる寸法の限界)がある。これがおおむね850平方mm前後で、M1 Maxに実装するには多分足りない程度(面積的にはギリギリOKだが、縦に長すぎる)。CoWoSは最大で1700平方mm程度までカバーするが、これは2倍のサイズで露光する方式なので、配線密度がその分減ってしまう。現実的には、AMDがRadeon Instinct MI250で実装したElevated Fanout Bridge 2.5D(Photo03)に近い仕組みが必要だろう(ちなみにIntelのEMIBがまさにこれであるが、EMIBはパッケージ表面にインターポーザの分の凹みを作り、ここにインターポーザを埋め込む)。
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