大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
停滞するIntel、差を縮めるAMD(4/4 ページ)
AMDのLisa Su CEOは2020年に開催されたFinancial Analyst Dayで、同社の新しい長期モデルとしてこんな数字を示した(図1)。まずRevenueで20% CAGRは、どのくらいの期間で算出するかによるが、取りあえず昨年比で言えば68%の向上だからパス。Gross MarginはAMD単体だとまだ48%程だが、Xilinxも加味すると50%を超えてこれもパス。Operating Margin(営業利益率)はXilinxを合算しても20.3%だからまだ頑張る必要があるが、それでも手が届きそうなところまで来た。Free Cash Flowは2021年度末でAMD単独でも25億3500万ドル、Xilinx分まで合算すると44億7300万ドルに達しており、これも目標を余裕で達成している。2020年の発表時にはかなり厳しい目標に見えた数字であるが、かなりの部分を実現してしまったことには驚きしかない。
Intelがここから盛り返すにはどうするか? と言えば、もう話は簡単で、Intel 4やIntel 3の早期フル稼働を実現するしかない。現在Intelが利用しているIntel 7は、名前こそ7ながら実態は10nm世代のもので、動作周波数としてもロジック密度としてもTSMCのN7と同等かちょっとマシ程度。EUVを利用したN6とか、まもなくAMDが投入するZen 4世代のTSMC N5に比べると競争力は落ちる。おおむねIntel 4がTSMC N5と同等とされているから、これが順調に立ち上がれば出荷数量的にもコスト的にもAMDに十分競合して圧倒できる可能性がある。
逆にこれにしくじって、引き続きTSMCのN6とかN5を使う様では、コスト面でAMDにアドバンテージはなく、むしろFabへの投資がそのまま足かせになってどんどん財務状況を損ねる事になるだろう。Intel 4やIntel 3がスムーズに立ち上がって生産力に余裕ができ、外部の生産委託を受ける事で早期に投資を回収しつつ、Intel 20Aとか18Aといった先端プロセスをTSMCやSamsungに先立って立ち上げできれば、再びIntelの黄金時代が訪れるかもしれない。ただその黄金時代が来るか否かは、一重にEUVを利用したIntel 4が問題なく立ち上がるか否かに掛かっている。決算発表に先立ち、IntelはアイルランドのFab 34に製造装置導入開始、オハイオ州の新工場建設発表、ASMLの次世代EUV露光機であるTWINSCAN EXE:5200の契約など矢継ぎ早に製造能力の拡充に余念がない。昨年からの製造施設拡充も加味すると、猛烈に高額な賭けである。これだけの賭け金を積み上げられるPat Gelsinger CEOには、畏敬の念を禁じ得ないというのが正直なところだ。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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