大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
停滞するIntel、差を縮めるAMD(2/4 ページ)
もっと危機的なのはDCGの不調であろうか。2021年度はわずかながら売り上げが落ちており、その一方でAMDは33億ドルから71億ドルと売り上げを倍以上に引き上げている。DCG+IOTGで考えれば11億ドルほどの成長となるが、そのほとんどはIOTGの売り上げの伸びであることを考えると、こちらは明らかにAMDに激しく押されてマーケットを失い始めている、と見なしても良いかもしれない。
もう少し子細に見ていきたい。Table 4はIntelのCCGの詳細である。Platform revenueはCPUとかチップセットなどの主力製品、Adjacent revenueはEthernetコントローラとかThunderbolt4コントローラなど周辺機器の売り上げと考えられる。Platform revenue、つまりCPUやChipsetなどに関してはきちんと一定の割合で売り上げが増えており、にもかかわらず2021年の売り上げが振るわなかった理由は、むしろその他の周辺回路向けの売り上げが実に13億ドルほど下がっているのが主な理由ということになる。その意味では、まだCPUやChipsetのビジネスそのものはそれほど傷んでいない、と見なせるかもしれない。OMRは営業利益率(Operating profit margin ratio)で、これで36.2%はかなり優秀な部類である。要するにCCGそのものはまだまだ十分ビジネスとして健全ということだ。
対するAMDのComputing and Graphics部門の詳細がTable 5である。売り上げそのものは2020年比で45%アップと大幅に改善されているが、営業利益率は22%ほどで、一般的に言えばかなり良いものの、Intelの30%後半には遠く及ばない、ともいえる。逆に言えばまだこのあたりは改善する余地がある、と見なすこともできるだろう。
問題なのはDCGの方だ。DCGおよびIOTGの詳細をTable 6に示すが、2019年には営業利益率が43.6%と驚異的な数字で、間違いなくIntelの稼ぎ頭だった。ところが2021年には27.1%とついにCCGよりも低いところまで落ちてしまっている。こちらはCCGと異なり、Platform revenueの方も僅かながら下がっており、こちらは間違いなくビジネスが縮小している格好だ。なにせIOTGの方が営業利益率が高い、というの冗談になっていない。もちろんこれには訳があって、IOTGのみで言えば2021年度の営業利益率は26.1%程度でしかない。ところがMobileye部門が驚異の44%の営業利益率であって、これで底上げがなされた格好だ。ただMobileye部門はもともと10億ドル程度の売り上げだから、底上げといってもそれほど大きな効果はない。何にしても、このDCGの27.1%という粗利率はかなり危険な数字である。
ではAMDは? というと、一度完全になくなったServer向けビジネスを再建している途中であることを考えると、既にComputing and Graphics部門を凌ぐ27.9%の営業利益率をたたき出しているのはある意味驚異的ですらある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
6
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
7
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
8
QC活動の形骸化はどう防ぐ? 実効性のある業務へ転換する3つの解消策とは
-
9
自律走行搬送ロボット(AMR)の位置推定と自律走行はどこまで高精度化できる?
-
10
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー