大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Folding@Homeに多数のユーザーが集まった理由(1/4 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2020年3月の業界動向の振り返りとして、相次いで発表されたサーバ向けArm SoCの話題と、新型コロナウイルス関連で注目を集めるFolding@Homeについてお届けする。
先月にも増してCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)が世界中で猛威を振るった2020年3月は、もう新製品どころの話ではなく、どうやって既存のビジネスを維持するかで精いっぱい、という感じになっているメーカーもかなり多い。それもあってあまりトレンドらしいトレンドはないのだが、小ネタを2つほどお届けしたい。
Server向けArm SoCが相次いで発表
まず2020年3月早々にMarvellがOCTEON TX2ファミリーを発表した。このOCTEON TX2、ローエンドのCN913XシリーズはArmのCortex-A72を4コア集積した構成だが、その上位にあたる6コアのCNF95XX、12~18コアのCN92XX、18~24コアのCN96XX、ハイエンドで30~36コア構成のCN98XXはいずれもMarvell独自のTX2コアを集積した製品である(写真1)。
このOCTEON TX2発表の2週間後となる2020年3月16日に、第3世代のThunderであるThunder X3を発表している。このThunder X3の詳細は今年のHotChips 32(2020年8月16~18日開催は確定しているが、オンラインでの開催が基本で、物理的なカンファレンス/トレーニングコースを開催するかどうかは現状未定となっている)で発表されるという事で、まだ詳細は明らかになっていないが、最大96コア/384スレッド(つまり1コアあたり4スレッド構成)で、コアは4つの128bit SIMDエンジン(NEON)を搭載し、Arm V8.3A+に準拠する。これを搭載したSoCはTSMCの7nmプロセス(N7なのかN7+/N7P/N6なのかも不明)で製造され、64レーンのPCI Express Gen4と8chのDDR4-3200を利用可能という説明がある。また2022年にはThunder X4をリリースするというアナウンスも行われた(写真2)。
そもそもOCTEON TX2に搭載されたTX2コアとは何か? だが、これはおそらくThunder X2に利用されたコアのマイナーバージョンアップ版と思われる。もともとCavium NetworksはThunder X1というコアを自社で開発したものの、性能はあまり芳しくなかった。そんな折、Broadcomが自社開発していたVulkanコアが、Broadcomの方向転換(というよりもAvagoによる買収による方針変更)により、自社での製品化の計画が白紙化された。Cavium NetworksはこのVulkanコアを買収し、Thunder X2として2018年に出荷している。このあたりの話は以前こちらの連載記事でもちょっと触れたが、その間にCavium NetworksはMarvellに買収されており、Thunder X2シリーズはMarvellからの出荷となった。
ただThunder X2は基本性能こそ初代Thunder Xから大きく引き上がったものの、命令セットがArm V8.1A相当とか、いろいろ細かい所でやや古い部分があった。さりとて、Thunder X3に搭載されるTX3コアの投入まで何もしないでいるとマーケットシェアを失いかねない。そこでThunder X2のコアをベースに、Arm v8.2-A相当の命令を追加したり、若干の仕様変更(キャッシュサイズが若干増加)したとされる。一方でThunder X2はThunder X3同様にコアあたり4スレッドのSMT構成になっているが、TX2コアではこれを減らしている(か、無効化している)模様だ。ただこれはあくまでもつなぎで、要するに高まる5G基地局向けのソリューションのためのワンポイントリリーフという感じであり、恐らく今年~来年にかけてこのあたりはTX3コアベースの製品で置き換えられていくものと思われる。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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