大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Folding@Homeに多数のユーザーが集まった理由(2/4 ページ)
同じく2020年3月に、ArmのNeoverse N1を80コア集積したAltraをリリースしたのがAmpere Computingである。Ampere Computingは以前こちらの記事で紹介されているが、APM(Applied Micro Circuits)がMACOM Technologyに買収された際に、同社が開発していたX-Geneというサーバ向けチップが丸ごとファンドに売却され、独立した格好だ。最新のコアはそのX-Geneの第3世代にあたるX-Gene 3で、これを搭載したeMAGという最初のチップは2018年9月から出荷開始している。Ampereはこれに続き、7nmプロセスに移行させて最大80コアを集積したQuicksilverというコアを開発していると伝えられていたが、実際にはNeoverse N1ベースとなったのは、
- Quicksilverの開発に失敗したか、最初からQuicksilverはArmのIPベースだった
- 現在もQuicksilverは開発中だが、予想よりも市場投入時期が遅くなりそうなので、先んじてNeoverse N1ベースの製品を投入した
のどちらなのか、現状では判断はつかない。ただ逆に言えば、こうした多コアのArmベースのサーバ向けSoCは、今投入しないとシェアが失われるとAmpereは考えているのは間違いなさそうだ。
こうした多コアSoCはこの2社だけではない。2019年12月にAmazon子会社のAnnapurna LabsはNeoverse N1を64コア集積したAWS Grabiton 2を発表しており、既にAWSのM6g/R6g/C6gといったインスタンスで利用されているし、Huaweiに至っては2019年1月にArm v8.2aベースを64コア集積したKunpeng 920をリリースしている。このKunpeng 920に利用されているのはTaiShan v110と呼ばれるコアであるが、公式には詳細が明らかにされていないものの、独自コアではないかと言われている。ちなみにこのTaiShan v110はHuaweiにとっては第4世代のコアであるが、既に第5世代コアの開発がアナウンスされており、2021年に発表とされている。この第5世代はSVE(Scalable Vector Extension)を搭載するとしており、現状ArmからSVEを搭載したCPU IPは提供されていない(というか、富士通のA64FXが唯一の実装例)事を考えると、やはり独自設計のコアと思われる。
これだけ各社が独自コアの製品を相次いで市場投入する、というのは要するにやっとソフトウェアを含むインフラの準備が整ってきて、市場に受け入れられる準備が整ったという意味でもある。
折しも、Intelは10nm世代への移行にほとんど失敗したようで、サーバ向けのXeonもいまだに14nm世代のものを多少お色直しをして出し続けている状況で、ここにAMDが7nm世代のEPYCプロセッサで切り込みを掛けており、2020年中には10%台のシェアが取れる(その分Intelのシェアが落ちる)と見込まれているが、ここにArmベースのSoCも割って入りそうな勢いである(と言っても1桁%の、それも前半の数字であろうと思われるが)。逆に言えば、Intelが自責点を積み重ねている今がチャンス、と判断したというべきだろうか。今年後半の動向がちょっと楽しみである。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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