宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(36)
IoT機器で得られた情報、どう使おうと勝手だと思ってませんか?(2/2 ページ)
IoT機器でやりたいこと、分別つけられますか?
IoT機器というのもまた特殊なデバイスです。常にインターネットに接続され、さまざまな定点におかれてセンサーとして働きます。そのいくつかは、家庭内に置かれるかもしれません。
例えばスマートスピーカーを考えてみましょう。常にインターネットに接続され、ウェイクワードをいうだけで反応するスピーカーは、安価に販売されたことで皆さんも活用しているIoT機器かもしれません。ウェイクワードを待つために、機器としては常にマイクを使って待機しているわけですが、このとき、室内の音を常に記録することだって、技術的には可能です。中にはテレビの音を聞いて、どのチャンネルを見ているかを判断して効果的な広告を出したいと思ったり、独り言のように「しょうゆがなくなっちゃったわ」という言葉が発せられるのを待って、自動的に購買アクションを起こしたいなんて思うかもしれません。「きっとそういうのが便利なはずだ!技術的にはできる!」と思っても、それは本当にやっていいことなのでしょうか?
その意味では、Googleがホームセキュリティシステムとして販売した「Nest Secure」の端末に、技術仕様に存在しなかった「マイク」の存在が明らかになった事件が記憶に新しいです。Googleとしては単なる記載漏れとしていますが、利用者の視点で考えると、プライバシーの面で釈然としない印象を受けます。
IoT機器はインターネットで常につながり、各所で集めたデータをまとめ、処理することが可能です。しかし、そのデータの持ち主とは「利用者」であり、IoT機器ベンダーやソリューション提供者はあくまでそれを利用規約に基づき、二次利用させてもらう似すぎません。それを勘違いしてしまうと、集めたデータを後でなにか加工してお金にしようとか、そのデータ自体を(勝手に)第三者に販売して活用してもらおう、という考え方になってしまいます。そのためには、利用者が明示的にその内容を理解し、その上で購入、利用するというステップを踏む必要があります。
個人的には長文の利用規約にこっそりと入れ込むのはよくないと考えていて、プライバシー上重要なデータを利用する場合には、パッケージや解説書に目立つように書くべきです。そうすることで得られるメリットの方が大きいと思わせること、つまり「利用者側もプライバシーを意識し、正しく運用している製品を選ぶ」という環境を作らねばならないとも考えています。
IoT機器製造に携わる人は「プライバシー」に敏感であれ
もちろん、IoT機器が集める情報は、プライバシーとは別の観点でも暗号化し、通信経路上で盗聴、なりすましが行えないよう、正しくセキュリティを意識したシステム作りが必須です。その上で、IoT機器が吸い上げるものが本当に必要な情報なのかを判断し、利用者に分かりやすくプライバシーポリシーを提示し、誠実に運用することこそが顧客の信頼を得る正しい道といえるでしょう。
![図「JSSEC IoTセキュリティチェックシート 第二版] 解説編」に書かれたプライバシー要件のチェックポイント最もまずいのは「とにかく取れるデータを全てとって、後で活用方法を考える」ことかもしれません。今の時代、必要のない情報を取らないことが一番の情報漏えい対策といえます。ビッグデータという言葉に踊らされることなく、信頼されるIoTシステムとはなにかを考えることこそが、最大の防御策なのです。 (次回に続く)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
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著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!<漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ>』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる本です。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さまに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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