製造現場のIoT活用を成功に導く5つのポイント(4)
工作機械とクラウドをどうつなぐ? 製造業IoTで考慮すべき「通信」について(2/2 ページ)
通信プロトコル
IoTシステムでよく用いられる通信プロトコルを以下に示します。なお、他でも多くの情報が掲載されているため、本稿ではプロトコルの詳細は割愛し、概要のみを記載します。
TCPベースの独自プロトコル
クラウドサービス側で仕様が決められた、コマンド/レスポンス方式のプロトコルです。工作機器やエッジデバイス側で、そのプロトコルに合わせた通信処理を実装することになります。
クラウドサービスによっては、さまざまなプログラム言語で作られたライブラリやサンプルコードが提供され、実装しやすいよう配慮されています。
FTP/FTPS
FTP(File Transfer Protocol)はファイルを転送するための標準的なプロトコルです。クラウドサービス側がFTPサーバ、工作機器やエッジデバイス側がFTPクライアントとなり、通信を行います。クライアント側でデータを(CSV形式などの)ファイルとして保持している場合、このプロトコルが用いられることが多々あります。
FTPSは“FTP over SSL/TLS”の略で、FTPで送受信するデータをTLSまたはSSLで暗号化する通信プロトコルです。
HTTP/HTTPS
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)自体は、Webページなどをやりとりするために用いられるプロトコルです。クラウドサービスにおいて、HTTPのメソッド(GET/POST/PUT/DELETE)、URL、パラメーターに応じた機能を公開し、工作機械やエッジデバイス側からその機能を通じてデータを送受信します。
HTTPSは“HTTP over SSL/TLS”の略で、HTTPで送受信するデータをTLSまたはSSLで暗号化する通信プロトコルです。
MQTT/AMQP
TCPベースで、シンプルかつ軽量なプロトコルです。低スペックの機器でも動作しやすいように設計されており、HTTPよりも通信量が少なくて済むため、IoT向きのプロトコルといわれています。
データを“メッセージ”という単位でやりとりします。クラウドサービス側にMQTTブローカーが準備され、工作機器やエッジデバイス側がメッセージを配信し(Publisherとなる)、クラウドサービス側でそのメッセージを受け取ります(Subscriberとなる)。
(参考)プロトコルの実装やセキュリティ機能をオフロードする
工作機械のコントローラー側では、まだまだ通信機能や暗号化機能が実装されていないことが多いのですが、そのような場合でも、エッジデバイスや通信アダプター、または通信キャリアが提供するサービスで、通信プロトコルの実装や暗号化処理を肩代わりさせることもできます。
制約条件
1.データ量
工作機械などの機器がどのくらいのサイズで、どの程度の頻度でデータを生成するかを把握します。また、工作機械側でデータを蓄積できる場合は、蓄積した際のデータサイズについても押さえておきます。
データ量は、後述する通信コストにも関係しますが、採用できる通信プロトコルおよび経路にも関わってきます(例えば、1回で送信しなければならないデータ量が多い場合、LPWA通信は不向きです)。
2.コスト
通信にかけられる費用もあらかじめ確認しておきましょう。
イニシャルコストとしては、配線などの工事費用や通信アダプターといった機器の購入費用、携帯通信網などを使用する場合にはSIMの購入費用があります。月々のランニングコストとしては、インターネット網接続にかかる光回線やプロバイダーの費用、携帯通信網などを使用する場合には通信費があります。
上記の制約条件を鑑みて、通信経路や通信プロトコルを選定します。携帯通信網やLPWAの利用検討に当たっては、現場環境に適用できるかどうかの判断が難しいため、一度PoC(Proof of Concept:概念実証)を実施し、電波状況、通信可否、通信データ量(それに伴う通信コスト試算)、消費電力といった確認を行うことをオススメします。
今回は具体的な通信方法と、その選定に関する考慮すべき事項について紹介しました。次回は、最終回として「IoTシステムの運用」を取り上げます。お楽しみに! (次回に続く)
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製造現場のIoT活用を成功に導く5つのポイント
IoTコンサルタントとして、主に製造業でのIoT導入を支援してきた筆者の経験を踏まえ、工場(製造現場)におけるIoT導入を進める上で「まず考えておくべきこと」や「気を付けておきたいポイント」などを詳しく解説する。
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