IoTセキュリティの現実的な仕組みと課題(3)
想像してみよう、もしもIIoTの世界でセキュリティ対策をしなかったら?(4/4 ページ)
クラウドで困ること
産業用途のアプリケーションは、装置や機械とともに工場、プラントの内部で動作すると思われがちだが、それらの多くは既にクラウドサービスに移行しつつある。例えば、ドイツのSiemensが提供する「MindSphere」などがそうだ。さまざまなデータを工場の中だけでなく、作られた製品がどのように使われているか、その効果や効率はどうかなど、より広い範囲でデータを取得し、分析することをサポートするプラットフォーム(SiemensはMindSphereを“OS:オペレーティングシステム”と呼んでいる)である。
MindSphereは、主に製造業での利用を想定しているが、もちろん鉄道や発電所などの重要インフラでの利用もできるだろうし、必要な分析のためのアプリケーションは利用者が追加することもできる。とても便利だが、もしこの仕組みが停止したらどうなるか? あるいは間違ったデータが入力されたらどうなるのか? そもそも間違っていることは分かるのか? 導入前にこのあたりの疑問はクリアにすべきだろう。
また、2018年9月29日に世界中でニュースとなったFacebookの脆弱性による認証問題は、大きな課題を提示してくれた。不正なアクセスをどう防ぐのか、ということもあるが、不正なアクセスであることをどうやって知ることができ、どのように不正アクセスを排除できるのか。これらはシステム導入の際にあらかじめ検討しておかなければならないだろうし、データの完全性を担保できなくなったときに、不正なデータを排除するのは困難だと思われるので、いかに安全に自動化されたデータ収集分析プラットフォームとの依存関係を断つことができるのか、十分な考慮が必要になるだろう。
そもそも、仮想化環境で構築されるクラウドシステムが「絶対に安全だ」と言い切ることはできないし、それをよりどころにしたシステムや運用は大いに危険だと筆者は感じている。
さらに、クラウドサーバが稼働するデータセンターが停電によって利用できなくなることがある。類似の事件としては、2016年のデルタ航空のサービス停止やGitHubのサービス停止などがある。
IIoTではより高度に自動化し、効率の良い製造業の仕組みを構築することを求められるが、それは破綻した際のビジネスの継続が困難になっていい、ということではない。くしくも先の台風24号によって静岡県では大規模な停電が発生したが、電柱による空中配線で配電網を構築していたため、強風で断線したといえる。一方、電線を地中に埋設した場合には断線部が発見しにくく、工事に時間もかかることが想定される。いずれにせよ、さまざまな事態を考慮に入れ“リスクの少ない方法”を選択することが重要だろう。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
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IoTセキュリティの現実的な仕組みと課題
デジタル(サイバー)世界と現実世界を橋渡しする「IoT(Internet of Things)」の仕組み。その可能性や利便性についての話題は尽きないが、IoTのセキュリティリスクに関してもしっかりと情報収集し、対策を講じるべきである。本連載では、工場や重要インフラで利用されつつある「インダストリアルIoT(IIoT)」の世界に着目し、IoTセキュリティの現実的な仕組みと課題について解説する。
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