IoTセキュリティの現実的な仕組みと課題(2)
「脅威」や「リスク」を想定することが、IIoTセキュリティの第一歩(2/3 ページ)
インダストリー4.0の実現を目指す各社の動き
そもそも完全自動化されている製造ラインというのは、組み立てや加工の手順が定められていて、それに基づいて設備が調整され、並べられていて、部品が手順通りに流れることでこれに対応する。
有名なのはロボットメーカーのファナックの「産業用ロボットが産業用ロボットを作る」という自動化工場の例だが、ここでは別の事例として、米Midwest Engineered Systemsが構築した溶接システム「Robotic Weld Cell」を紹介したい。
彼らは製造業を顧客とする製造システムの開発企業で、この自動化プロジェクトでは製造情報に合わせて溶接位置や、対象となる部材の位置決めなどをパラメトリック計画法(Parametric Programming)によってモデル化し、解決している。もちろん、加工できる部材のサイズはあらかじめ決めてあるので、規定外のサイズの部材を溶接することはできない。ただ、インダストリー4.0などが目指す世界が、“条件の変化に応じてこれらが自律的に行われること”だとすると、超過サイズの部材の加工が可能なシステムとコミュニケーションして、作業を振り分けることが可能になるのだろう。
工作機械メーカーがこうしたトレンドに乗ろうとしていることは、各社が公開している動画からも見て取れる。例えば、DMG森精機やヤマザキマザックがコンセプト動画を公開しており、それぞれインダストリー4.0の実現アプローチについて訴求している。
スペインの自動車メーカーであるSEAT(セアト)のボディー組み立て工程では、2000台のロボットと1700人の作業員が協働することで68秒に1台のボディーを製造しているという。ロボットによって自動化された製造システムの稼働状況と、人とロボットの安全な協働に関する情報が中央集中管理センターに集約、管理されている点がインダストリー4.0の適用イメージとして紹介されているが、これは「デジタル化」を進めることの現実的な解ということだと思う。
また、インダストリー4.0の世界ではオンデマンドでの製造や加工も、サプライチェーン上の複数の設備(工場)から選択して実施することが可能である。例えば、複数の工場にある設備を利用して納期に間に合うように部品を製造するといった利用だ。そのイメージが、4.0RUのデモビデオでも確認できる(33秒あたり)。
一方、マツダは自社の混流生産、インダストリー4.0でいうところの「マスカスタマイゼーション」「マスパーソナライゼーション」を、人が中心になって実現した例をブログで公開している。“デジタル化を推し進める前にやれることがあるはず”と思う方々にはよい事例になると思われる。目的を達成するための手段はデジタル化だけではないのだから。
「OT」とは何か?
さて、IIoTというキーワードと一緒に「OT(Operational Technology)」という言葉が使われるようになってきた。これは、ITと対で使われることが多いが、工場やプラントの操業や設備保全に用いられる技術全般を指す。運用・制御技術あるいは生産システム技術など、さまざまな訳語がある。
しかし、OT⊃ICS(ICS[産業用制御システム]はOTの部分集合)と考えるべきであり、OT=ICSではない。例えば、自転車の製造工程では、ホイールなどの部品の加工は機械で自動化されているものの、各工程には作業員が介在して組み立ても行っており、ICSはOTのごく一部でしか利用されていないことが分かるだろう。
これが自動化の進んだ工場やプラントではOT≒ICSとなるのである。
ダイキン工業の社内ベンチャーとして起業したDK-Powerの事例が分かりやすい。砺波広域圏事務組合の福野調整槽マイクロ水力発電所は浄水場から流れ出る水をためておく調整槽と呼ばれる貯水タンクに発電機を設置し、自動制御で発電している。
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IoTセキュリティの現実的な仕組みと課題
デジタル(サイバー)世界と現実世界を橋渡しする「IoT(Internet of Things)」の仕組み。その可能性や利便性についての話題は尽きないが、IoTのセキュリティリスクに関してもしっかりと情報収集し、対策を講じるべきである。本連載では、工場や重要インフラで利用されつつある「インダストリアルIoT(IIoT)」の世界に着目し、IoTセキュリティの現実的な仕組みと課題について解説する。
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