設計者CAEは普通の解析と何が違う?(10)
質の高い解析を実現するには“What”と“Where”を明確にせよ(2/2 ページ)
それでは、前回に引き続き、設計者が理解しておきたいキーワードについて解説します。
「ヤング率」「ポアソン比」とは?
ヤング率とは
「縦弾性係数」ともいわれる材料固有の定数で、CAEを運用する上では、「ヤング率」といわれ、アルファベットの「E」で示されます。前回、力学的挙動の式について紹介しました。
金属も微小範囲においては、この挙動が成り立っています。よく目にする「応力歪線図」でいえば、弾性材料を引っ張り、引っ張ることをやめたときに、元の寸法に戻る範囲、すなわち線形性のある範囲があり、この範囲は「線形解析」として解きます(補足:この範囲外となる、すなわち力を解放しても元に戻らない領域の解析は「非線形解析」として解きます)。
この範囲において、「材料を任意の力で引っ張ったときの応力σ(シグマ)とひずみε(イプシロン)は比例関係にあり、この比例定数がヤング率Eである」と筆者は解釈しています。ひずみについて補足しますが、ひずみは次の式に表されるように無次元の単位となります。
これらの関係は、次の式で表すことができます。
縦軸に応力、横軸にひずみとした応力ひずみ線図では、線形領域の傾きがヤング率ということになります。つまり、この傾きが大きいということは、より大きな応力でなければひずみは起こらず、“ひずみが起こりにくい(変形しにくい)”ということになります。その逆に、この傾きが小さいということは、より小さな応力でひずみが起こるので、“ひずみが起こりやすい(変形しやすい)”ということがいえます。
このことは、解析のみならず設計時の材料選定の際に、頭に入れておく必要があります。
ポアソン比とは
「ポアソン比」とは、応力により材料が変形する際の“縦方向のひずみ”と“横方向のひずみ”の比のことをいい、ギリシャ文字ν(ニュー)で表されます。
引っ張る方向の荷重や圧縮する方向の荷重をかけた場合にも、その荷重と直交する方向、力をかけていない方向に対しても材料は変形します。引っ張る場合は材料が伸びることにより細くなります。このとき、伸びたひずみをε1とすれば、細くなったひずみがε2となります。この逆に、圧縮する場合は材料が縮むことにより太くなります。この場合も、縮んだひずみをε1とすれば、太くなったひずみはε2となります。これらε1とε2から、“ポアソン比ν”は次のように定義されます。
ヤング率とポアソン比は両方とも重要な定数です。
CAEが普及し始めると解析担当者にとって“困ったこと”も起こります。次回はそんな話をしようかと思います。お楽しみに! (次回に続く)
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設計者CAEは普通の解析と何が違う?
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。本連載では、設計者CAEがもたらすメリットや実際に導入していく上での注意点を、現場目線でご紹介します。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[CAE][設計者CAE][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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