設計者CAEは普通の解析と何が違う?(9)
解析専任者でなくても理解しておきたい「荷重」と「応力」のキホン(2/2 ページ)
応力とは
これらのさまざまな荷重が作用することにより、物体内部には何が生じているのでしょうか。これが応力です。
外力が物体の内部に伝わり、物体内部で作用する力が応力です。ただ、一言で応力といっても、応力の見方としてはいろいろな応力の成分が存在します。
主応力
3次元空間上で考えれば、3成分のせん断応力と、3成分の垂直応力が考えられます。主応力ではせん断応力を考えないので、せん断応力が0(ゼロ)になるような座標系を基準とすることにより、垂直応力のみで主応力を求めます。
主応力は、大きさと方向を持つ応力値です。値の大きい方から順に「最大主応力」「中間主応力」「最小主応力」といい、最大主応力は材料にかかる最大の引っ張り応力の評価、最小主応力は最大の圧縮応力の評価に使用することから、筆者は材料の圧縮強さ、引っ張り強さの評価に使用します。
せん断応力
せん断応力は、言葉の通り、せん断方向の応力になります。せん断加工は、材料に荷重をかけることによって、材料に断面方向にズレようとするせん断力が働きます。このせん断力が材料の持つせん断強さ以上になると、その材料はプレスを行うように打ち抜かれてしまいます。この荷重を受ける断面積で割った値を「せん断応力」といいます。
ミーゼス応力(Von Mises応力)
ミーゼス応力とは、垂直応力とせん断応力から計算されるスカラー量の応力です。相当応力とも呼ばれます。スカラー量とは、大きさのみの量になり、方向を持ちません。これに対するものがベクトル量になります。筆者は、応力値が降伏点(降伏応力)を超えていないかどうかの評価にミーゼス応力を使用します。
また、ミーゼス応力と主応力の解析における結果の評価方法についても、きちんと理解しておく必要があります。
前回に続き、新たな語句として、引っ張り強さ、圧縮強さ、降伏点、降伏応力といったものが出てきました。これらを理解する上では、前回語句のみ紹介したヤング率、ポアソン比といったものも理解する必要があります。
これらは解析専任者でなくても、設計者であれば知っておくべき基本的な知識です。「おや?」という方は、復習をお勧めします(次回はこのあたりのお話をする予定です)。
さて、ここまでのお話の中で、解析による評価について触れました。具体的に「どのような方法で」となると、「どのような見方をすればいいか」ということになると思いますが、今回紹介した引っ張り、圧縮、降伏といった評価がその一部になります。
しかし、解析によって検証を行う場合、1つの物理現象だけを対象に評価すればいいのでしょうか? 力学的なアプローチの検証がメインであっても、熱による膨張の影響などは普通に見られる物理現象ですから併せて行うべきです。「マルチフィジックス解析」(※)とまでいかなくても、こうしたアプローチは必要です。
※マルチフィジックス解析:構造解析、流体解析、伝熱、電流、磁場といった解析を組み合わせる連成解析により、これら個別の解析結果を評価するのではなく、より複合的な評価を行う解析。
そして、最も重要なことは「何を見たいのか」であり、言い換えれば「何に注目するのか」です。次回はここからお話しします。お楽しみに! (次回に続く)
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設計者CAEは普通の解析と何が違う?
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。本連載では、設計者CAEがもたらすメリットや実際に導入していく上での注意点を、現場目線でご紹介します。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[CAE][設計者CAE][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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