製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力(4)
「Fusion 360」と商用ミッドレンジCADの違いとは? そして両者の共存の道を探る(1/3 ページ)
個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。連載第4回では、Fusion 360の位置付けをあらためて確認すると同時に、商用3D CADとの共存の可能性について考察する。
前回は、「Fusion 360」のメイン機能である「3D CAD」の特長と、現場での有効性について紹介しました。
その冒頭で「3D CADは、設計者だけのものではありません」とメッセージを発信した通り、これからの製造現場は「思考する自律型」を目指し、設計側とデータ共有をしながら積極的に3D CADの活用を増やしていくべきであり、それが生産合理化の本質を高めていくことにつながります。
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3D CADの分類と「Fusion 360」の位置付け
ここであらためて説明しておきますが、3D CADは機能の高い順に「ハイエンド」「ミッドレンジ」「ローエンド」に分類され、機能の高さと価格の高さは比例します。
「CATIA」に代表されるハイエンドCADは、主に大手メーカーにおける自動車や航空機、家電製品といった、複雑で高精度な設計を必要とする領域で採用されています。
「SOLIDWORKS」や「Inventor」に代表されるミッドレンジCADは、ハイエンドCADほどの高機能は期待できないものの、“設計のみ”に注目すると、ハイエンドCADに劣らない機能を備えているため、大企業から中小企業まで導入企業が数多く、ユーザー層も広く厚いのが特長です。
ローエンドCADとは、フリーあるいは低価格のCADで、Fusion 360もこのタイプに入ります。個人でも手が届くほどに価格を下げて機能を絞り込んだローエンドCADは、実務での運用では満足いかないことも確かに多いのですが、これは“設計業務”という観点で見比べた場合の差であって、製造現場での3D CADの使い道は、設計者のそれとは異なってきます。
ざっくばらんに言うならば「製造現場で使う3D CADには、それほど高機能を求めなくてもよい」ということです。
ここで、ハイエンドCADやミッドレンジCADとローエンドCADのすみ分け方が見えてきます。ただ、いくら「製造現場では高機能の3D CADは必要ない。ローエンドで十分」といっても、「考える現場、自律型の現場」への進展がなければ導入の意味がないので、ローエンドCADの中でも製品内容を見比べて、賢く選定したいところです。
時として、NC加工プログラムの作成に必要な3Dモデルは、「形状データ」だけで十分な場合もあります。そこであえて、フィーチャーや拘束条件を付けられる「パラメトリックモデリング方式」を選ぶ必要はありません。
Fusion 360では、基本設定でモデリング方式を選択できる他、モデル作成中でも右下のメニューから「ダイレクトモデリング」にモードを切り替えることが可能です。その後、修正メニューから各コマンドを使って、押したり、引いたりの操作でモデルの編集を行うことができます。この手順はCADの操作に慣れていない人でも比較的効率良くモデルを作成できるので、現場向きなのかもしれません。
Fusion 360のCADには、2次元DXFをスケッチとして挿入し、そこから3Dモデリングを作成できる機能が備わっています。これにより、社外から加工依頼を受けて、その際に支給されたCADデータが2次元DXFのみだった場合でも、現場レベルでモデリングを行い、図面と照合しながら3D CAMを使ったNC加工プログラムの作成を進めることもできます。
この場合、CADとCAMは同期していることが好ましいわけですから、統合プラットフォームであるFusion 360ならば目的にかないます。単純に「現場にも3D CADがあれば便利」なのではなく、“作業を合理化する道具”として、どのような機能を求めるのかが選定のポイントになってきます。
先ほどミッドレンジCADの代表格として挙げたInventorは、Fusion 360と同じAutodeskの製品ですが、Inventorが機械設計や製品のシミュレーション機能に特化して開発された高性能なシステムであるのに対して、Fusion 360は全く別のコンセプトで作られた「統合プラットフォーム」という位置付けです。そのため、Fusion 360はアイデアから製造までの全プロセスを一元化することにより、加工合理化や、企画から試作までの期間短縮に役立てられるように作られています。
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