製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力(4)
「Fusion 360」と商用ミッドレンジCADの違いとは? そして両者の共存の道を探る(2/3 ページ)
“クラウドベースツール”の実用性と将来性
ここでもう一度認識しておきたいのが、Fusion 360が「クラウドベース」だという点です。連載第1回でも少し触れたように、データセキュリティの面から、いまだにクラウドへの懸念が拭い切れない方もいらっしゃるかも知れませんが、あらためてクラウドベースツールの実用性と将来性について述べておきます。
自社内で設計から加工および製造までを行う場合でも、外部からのデータ支給で加工を行う場合でも、異なる3D CAD間のデータ交換は、もっぱら「中間ファイル形式」へ変換して行われており、現在は主にIGESやSTEPが用いられています。また、部品メーカーが公開している3D CADデータも、世に存在する全てのCADのネイティブデータをカバーしているとはいえず、使用しているCADに見合ったフォーマットでのデータが手に入らない場合、中間ファイル形式で入手することになります。
中間ファイルは、ネイティブデータをそのまま再現できるとは限らず、データによっては、展開時に面データ同士の接合部分に不具合が出る場合があります。そのため、中間ファイルを手に入れたら、これらの不具合が起きていないかのチェックをして、必要に応じてデータを修正しなくてはなりません。
Fusion 360では、別のCADで作成されたネイティブデータをダイレクトに開くことはできませんが、クラウドにいったんアップロードして、それをFusion 360上で展開して編集、保存することが可能です。通常、中間ファイルに変換してからやりとりしなければならないところを、Fusion 360ではネイティブデータをそのまま受け取ることができます。クラウド経由でのエクスポートでは、各種中間ファイルの他、Inventorのネイティブデータを書き出すこともできますので、「幅広いCADフォーマットに対応できるツール」といえます。
手順は、入手したネイティブデータをデスクトップなどに保存しておき、データパネル上の[アップロード]ボタンをクリックして、指示に沿って進むだけです。
Fusion 360で作成したデータをローカルフォルダ(自身のPC)にエクスポートできるファイル形式は、この5種類+3Dプリント用のSTLファイルの計6種類です。これだけ対応できれば、現場ではまず不都合はありません。
従来のように、3Dデータをインターネット経由で相手に送って情報共有するスタイルでは、単に情報を送ったり、受け取ったりするだけで、“3D CADを活用した業務連携”とはいい難いものがあります。
グローバル化によって国内から海外に拠点が分散されるケースも増える現在の製造業では、企業規模の大小にかかわらず、Fusion 360のようなクラウドツールを利用することで、情報を一方通行から相互通行にでき、さらに特定のメンバー間でリアルタイムの情報共有ができるようになります。今後、企業の枠を超えた協業も増えていくことでしょう。そうした際、おのずとクラウドサービスの需要は高まっていくはずです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力
個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー