TechFactory通信 編集後記
バーチャル空間で3Dデータに触れる「EXOS」は、なぜB2B市場を狙うのか
“触れること”は大切。
exiii(イクシー)という会社をご存じでしょうか? 高額な筋電義手を低価格で実現する「handiii」や同技術をオープンソース化した「HACKberry」などを手掛けてきたスタートアップ企業で、最近ではVR(仮想現実)領域で新たなソリューションを提案しています。
それが、触覚ウェアラブルデバイス「EXOS(エクソス)」です。従来のVRは、基本的に視聴覚の情報を基にバーチャル空間を体験するものでしたが、そこにある3Dオブジェクトに触れることはできませんでした。この従来のVRに存在した“物足りなさ”を解消するのが、EXOSです。「触覚」とある通り、バーチャル空間の3Dオブジェクトに触れられることを目指したデバイスで、現在、手に装着して指でモノをつかむ感覚を再現する「EXOS Gripper DK1」と、手首に装着して固定物に触れた感覚を再現する「EXOS Wrist DK1」をリリースしています。
◎編集部イチ押し関連記事:
» 「ゲンバ」がAR普及を加速させる、2018年から急加速
» 「VRから目が離せない」トヨタの語る3Dデータ活用事例
» IoT、3Dプリンタ、ARを設計業務で手軽に活用できる「Creo」がもたらす未来
» 9兆円市場に成長するVR、「本命」用途へ足りない要素
バーチャル空間で3Dデータに触れる「EXOS」は、なぜB2B市場を狙うのか
VRは、製造業のデザインレビューなどに活用され始めていますが、バーチャル空間の3Dオブジェクに触れようとしても、伸ばした手が(3Dオブジェクトを)突き抜けてしまうという欠点がありました。デザインの世界ではオブジェクトの距離感も非常に大切で、例えばどのくらい手を伸ばしたらクルマの天井にぶつかるか、ムリなく車載情報機器のボタンが押せるかなど、“触れること”へのニーズが非常に高いといいます。こうしたニーズを捉えたexiiiでは、同デバイスを活用した「『CADデータに触れる』3Dデザインレビューシステム」を開発。現在、日産自動車がこのシステムの実用性を検証しているそうです。
このことからも分かる通り、彼らがまず狙うのはB2B市場です。その理由について聞いてみると「コンシューマー向けのビジネスモデルの場合、どうしても回転率が悪い」といいます。多数の人を1つの空間に収容してコンテンツを流し、何度も入れ替えて収益を生み出す映画のようにはいかず、VRは「1人やっては次、1人やっては次」の繰り返しです。さらに、全員が同じようにVRシステムやウェアラブルデバイスを使ってくれるとは限らず、アテンド(サポート)する人員が必須である点も理由として挙げます。こうした手間を打破できるようなアイデアと巡り合うまでは、「実務(B2B)の世界に軸足を置く」といいます。
そんなEXOSの開発経緯や狙いについて、exiii CEOの山浦博志氏とCOOの金子大和氏に詳しく聞いてきました。ご興味のある方は、インタビュー記事「VR体験の物足りなさを解消する、触覚ウェアラブルデバイス『EXOS』が目指す世界」をぜひご覧ください。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 「もっといいクルマ」を目指す、トヨタの3Dデータ活用事例
» PTCはIoTベンダーになったのか? CAD、PLMユーザーに向けたメッセージ
» 「カイゼン」を中心にデータ活用が進む製造業、課題はROIと人材
» デンソーのAIプロジェクトが目指すもの
» 自動車産業の未来予想図 ~変革の時代をどう生きる?~
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechFactory通信 編集後記
「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載された、TechFactory担当者による編集後記の転載記事一覧です。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー