設計者CAEは普通の解析と何が違う?(5)
“場当たり的なCAE”をなくすための理想的なアプローチについて考える(1/2 ページ)
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。連載第5回では、求めたいことが不明瞭なまま、取りあえず解析依頼をしてくるケースに着目。場当たり的なCAEを減らすためのアプローチについて、筆者の考えを述べます。
前回は、「SOLIDWORKS WORLD 2018」で実感することができた“設計者CAE”の可能性について触れました。これらは既に実現可能なものばかりですが、設計者CAEの推進者たるもの、まずは足元を見つめ、設計者CAE運用の土台をしっかりと固めていく必要があります。
前々回「モデルの比較検証を『設計者CAE』の中心に、最も効果的な運用方法を考える」では、CAEの運用率が上がってくると、さまざまな解析依頼を受けるようになり、中には“求めたいことが明確ではない状態”で“取りあえず依頼”してくるケースもあるというお話をしました。実際、現在の筆者の解析現場においても、同じようなことが起こっています。
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なぜ、そんなことが起こるのでしょうか。その理由について、筆者は以下のように考えています。
- 以前CAEを依頼した人に倣って、自分も使ってみたかった(憧れ)
- CAEの知識はないが、興味があった
- 上司が「CAEを使え」というので仕方なく
- CAEは“何でもできる”と思っている
- 工学的な知識、例えば「4力(よんりき)」(材料力学、流体力学、熱力学、機械力学)の知識が十分ではなかった
- 詳細設計を行う上で設計者が仕様を理解していなかった
- 設計仕様が決まっていなかった
その他、臆測し始めればいくらでもその理由が出てきます。
CAEでは、限られた設定条件の中でその計算を行うため、必要となる仕様というものを曖昧に済ませることができません。ですが、筆者よりも設計者としての経験が浅い人からの“取りあえず”の解析依頼を受けた場合などは、設計仕様の曖昧さによる解析設定条件(境界条件)の不備に気が付いてしまうことが多々あります。
ただ、こうした場合においても筆者は突き放すことはせずに、CAEを依頼してきた設計者とよく話をして、必要となる条件を引き出すことに努めます。中には、筆者からの「なぜ、なぜ、なぜ」の問いにウンザリとしてしまう依頼者もいるでしょうし、人によっては「とにかく何でもいいから、取りあえずやってよ!」と押し通す人もいます。確かに、まずやってみるという考え方もあるかもしれませんが、解析結果のみが成果物なのだとしたら、設計者CAEを行う意味はさほどありません。設計者CAEの本質は、設計上の最適なパラメータを決めることと、それによって形状を決めることにあるのです。
黒子あっての設計、CAEなしにより良い設計は不可能
以前、ある人にこんなことを言われたことがあります。
どんなに素晴らしい解析を行ったとしても、その評価は解析によって反映された設計に対して評価されるものであって、解析にされるものではない。
これは、CAEがある程度定着した際にいわれた言葉です。「CAE担当者は出世しない」などと言われた経験もありますが、こんなことからなのでしょうか……。
「専任者CAE」のように、多くの時間をかけて仮想検証と実験を行うような現場では、その解析結果と実験によって得られた理論が重要視されるでしょう(と筆者は考えています)。しかし、設計者CAEの場合は、その解析結果が今行っている設計にダイレクトに反映されます。CAEの過程がどうであれ、その成果物は設計データとして見えるだけです。設計者自ら設計者CAEを行うのであれば、CAEは設計の一部であり、設計を支援する設計者CAE担当者がいるのであれば、それは設計を支援する作業でしかありません。
しかし、悲観的になることはありません。CAE担当者を「最強の黒子」と呼んでいる人もいます。黒子ですから黒子が評価されることはないものの、黒子なしでは設計という舞台は成り立ちません。
あるCAE製品を販売/サポートする会社では、“つくる情熱を支える情熱”と掲げていました。成果物は設計であっても、今やCAEによる解析は必要不可欠な仕事なのです。もしかすると、CAEの理解度が低かったり、解析条件が曖昧だったり、3Dモデルが解析者にとって正しくなかったりすることがあるかもしれません。しかし、そこはグッとこらえて、徐々に改善するように仕向けていくしかないでしょう(正直難しいのですが……)。
場当たり的なCAEが増える理由
話を戻します。効果のあるCAEを行うためには、「設計者が何の数値を問題視しているのか」「その数値がいくつならいいのか」「その数値は何をすれば求められるのか」「その数値は何によって実証検証できるのか」を明らかにすればよいのでは? と筆者は考えました。
ですが、これが決められないから解析条件が曖昧になり、その結果、場当たり的なCAEが増えるのです。これではCAE担当者の工数は増える一方ですし、その効果は一向に上がらないでしょう。皆さんの現場では、「あれを変えて、これを変えて」と五月雨のように変更される解析案件はないでしょうか。このような案件に直面すると、「はじめから方針を“きちんと”決めればいいのに……」と思ってしまうのは、筆者だけではないでしょう。
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設計者CAEは普通の解析と何が違う?
「設計者CAE」という言葉が設計現場で聞かれるようになって久しいですが、3D CAD推進とともにきちんと設計者CAEに取り組んでいる企業もあれば、まだ途上あるいは全く着手していないという企業もあるかと思います。本連載では、設計者CAEがもたらすメリットや実際に導入していく上での注意点を、現場目線でご紹介します。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[CAE][設計者CAE][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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