オートモーティブワールド 2018
自動運転や電化の進む中で「技術以外」をどう磨くか(2/2 ページ)
「自動運転の時代」に日本が世界と戦うために
技術だけではなく規格や法規への備えが必要だとして、具体的にはどのような評価指針を参照すべきか。山本氏は「ミラーレス車」を実現するカメラモニターを例に解説した。日本国内においても2016年6月から車両外部に装着したカメラで後方/後側方の間接視界を確保する代わりにサイドミラーをなくすことが認められており、これは未来の話ではなく、今現在の話である。
カメラモニターは死角の低減や空気抵抗の低減、デザイン自由度の向上などがメリットとして考えられる。その評価指針としては電磁波(UN-R 10.4)、耐久性(SAE J1211、ISO 16750など)、安全(間接視界に関する基準、UN R46)などが挙げられる。ミラーが保安装置としての機能を持つことを考えると機能安全(IEC 61508-1/-2、ISO 26262など)も重要な要素になるだろう。
カメラモニターは既に搭載例も多いためある程度は評価方法が定まっているが(既存ミラーの完全な置き換えとなると話は違う)、欧州を中心に普及を急ぐ声が聞こえる電気自動車の「非接触充電」に関する評価となると、これまでの自動車開発/評価とは異なった確認も必要となる。無線充電規格のSAE J2954や電気安全(非接触給電システム)のCD/IEC 61980-1などが留意すべき規格となるが、動力源の取り扱いでもあり、山本氏はこちらにおいても機能安全が重要な役割を持つと説明する。
フランスやイギリスが将来的なガソリン車の販売中止を打ち出したこともあり、欧州と中国を中心とした急速なEVシフトが進むという声もあるが、山本氏は「急速な完全電化は現実的とはいえない」とする。確かに走行時にCO2やNOxを排出しない環境性能やモーター駆動に由来する高いエネルギー効率、デザインの自由度などのメリットもあるが、ある程度の出荷台数にとどまるというのが山本氏の予想だ。
ある程度とはいえ、市販車としての存在感を発揮する台数になる可能性は高い。そのために電気自動車のインフラとなる給電システムも急速に進歩し、電磁誘導方式を用いたワイヤレス充電システムが2020~22年頃には市場に登場、2025年ごろには一般的に使われ始めるだろうと山本氏は予測を紹介した。オートモーティブワールドの会場ではクアルコム ジャパンが「Halo」を用いたEV向けワイヤレス充電システムを「2021年が市場投入の目安」と紹介しており、山本氏の説に重なる。
いずれにしても自動運転や電化などをキーワードにしながら自動車の進化が著しく進む中、これまでのと同じように開発や検証を進めていたのでは時流に乗り遅れてしまうことは確かである。また、基礎技術で優位性があったとしても、最終製品に組み込まれるまでその優位性が保たれるかはまた別の問題である。車載カメラモニターシステムのイメージセンサーにおいて、ある日本メーカーが世界的な優位性を持っているとしても、それがADASや自動運転技術における優位性に直結しないことと同様だ。
山本氏は日本が世界の競争で勝ち抜くためには、基盤技術の先行性を保ちながら、標準化競争に乗り遅れてはならないと警鐘を鳴らす。
特にIECやUN Rといった標準化や規制、法規に関しては欧米企業が中心となって枠組みが作成されることが多く、こうした場所で日本企業が存在感を発揮することは不得手といわれている。しかし、自動車開発と評価にIEC 61508で定められる機能安全の重要性が高まることは明らかであるように、新たな評価軸への速やかな対応が求められていることも事実である。「技術で勝ったが、市場で負けた」とならないために、日本の自動車メーカーが取り組むべき点は多い。
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