市場動向
世界の最新モバイル事情をエリクソンが解説――2023年、5Gの加入数が10億に(2/2 ページ)
「5G」が狙っている新たな市場
IoTデバイスの普及については、2023年に200億デバイスに達する。そのうち、174億台が近距離IoT(Bluetooth、Wi-Fiなど)で、広域IoT(LPWAなど)は24億台となる。広域IoTのうち75%はセルラー(Cat-M1、NB-IoTなど)が占めそうだ。
このセルラーLPWAの市場動向によると、北米の事業者はCat-M1を先行して導入する傾向がある。より広帯域、双方向通信などの特徴が着目されている。中国の事業者はNB-IoTを先行導入しており、低コストでの大規模展開を目指している。Cat-M1では音声通信の利用が始まっており、IoTで音声を利用するユースケースを模索している(AT&T、Verizon、Telstraなど)。チップセットもCat-M1とNB-IoTのデュアルモード、NB-IoTのシングルモードが市場投入されており、「シングルモードは数が出れば、当初目標の数ドルになるだろうといわれている」(藤岡氏)という。
世界のCat-M1とNB-IoTの導入状況は、AT&Tが2016年10月に初となるCat-M1を導入、2017年3月にはVerizonがCat-M1を全国展開した。2017年1月にはVodafone Spainが初のNB-IoTを導入している。日本では現在計画中だ。ユースケースを見るとNB-IoTはスマートメータやホームオートメーションなど、データ利用が少ない固定の端末で使用されことが多い。LTE Cat-1は、コネクティッドカーなどモビリティでの用途がみられる。
エリクソンによると、AT&Tの場合は水道メータ、自動販売機。中国移動(China Mobile)では、レンタル自転車などをサポートするユースケースがあり、このうち18件は発表、70件については未発表だという。
現在、多くのギガビット速度(Gbps/s)を実現するLTE-Advancedのネットワークが展開され始めており、世界で既に、14のギガビットLTEネットワークが商用展開されている。5Gに向けてLAA(Licensed Assisted Access)やマッシブMIMOなど新たな技術の導入も世界的にはみられる。なお、マッシブMIMOによるビームフォーミングは、従来のセクターセルではアクティブな端末でなくてもビームを受けることができるなどムダが多いが、MIMOではアクティブなユーザーだけにビームを送るため、利用効率が良く、キャパシティーが広がるなどのメリットがある。
新たなユースケースに向けた進化もみられており、現状では「人が使うものよりも、自動車や製造業、エネルギー、医療など、いわゆるIoT的なユースケースが進化する。これが、5Gが狙っている新たな市場になる」(藤岡氏)と指摘する。
今回のレポートでは、モバイルデータプランの推移状況もまとめている。モバイルデータプラン加入の割合を高GDP諸国(1万ドル以上)と低GDP諸国(1万ドル未満)でみると、データ使用のパターンは両諸国の比較ではほとんど変わらなかった。全体的には、過去12カ月でユーザーの6~7%が5GBより大容量のデータプランに移行している。また、2~50GB/月のユーザーが全体の60%を占めている。無制限ユーザーでも平均してみると極端に多いデータを消費しておらず、一方制限付きユーザーの全トラフィックの30%は制限超過分となっていた。この他、制限値が大きくなるとWi-Fiの使用割合が小さくなる傾向がある。
また、世界的なスポーツイベント(ハンガリーで開催された世界水泳選手権)でのモバイルデータトラフィックの状況を調査したところ、通常の1日の量と比較して10倍のモバイルデータトラフィックになったという。
さらに、ミレニアム世代の5Gへの期待感としては、世界的にはネットワーク性能への期待が大きく、「3G/4Gよりも何倍も高速」という意見が最も多かった。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 計測機メーカーから見た5G(第5世代移動通信)とその現状
» 「5G」実現の“カギ”は結局のところコスト次第
» 自動車業界は「5G」をどう捉えているのか?
» 通信事業者58社に聞く、5G動向調査レポート「けん引役はIoT」
» 5Gは「IoTデバイスを制御する」ことだけが目標?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
市場動向(エレクトロニクス)
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー