矢野経済研究所 ウェアラブルデバイス市場
2020年、スマートウォッチは「ポスト・スマホ」の地位を確立(1/2 ページ)
これから先、ウェアラブルデバイス市場はどのように成長していくのだろうか? 矢野経済研究所が発表したウェアラブルデバイス市場に関する調査結果の内容を基に、2015年の実績、2016年の見通し、そして2020年の将来予測について見ていこう。
iPhoneと連携できるスマートウォッチ「Apple Watch」が発売されてから約1年が経過した。それ以前にもAndroid搭載スマートフォンと連携可能な「Android Wear」が市場に流通していたが、アップルが満を持して投入したApple Watchは発売当時、多くのメディアにも取り上げられ、広く一般にスマートウォッチ、身体に装着するデバイス=ウェアラブルデバイスという存在を身近なものにした。
従来の腕時計と比較した場合、“バッテリーの持ち(駆動時間)”や“耐用年数”などの課題もあるが、スマートフォンの通知を表示したり、スマートフォンの機能やアプリを呼び出したりなど、スマートフォンと連携した新たな利用シーンが生まれ、業務での利用についてもさまざまな研究開発、実証実験が行われている。
また、スマートウォッチのように腕などに装着して使用するスマートバンド(活動量計や睡眠計などの機能を持つ)は、健康志向の高いビジネスマンやシニア層などに受け入れられ、さまざまなメーカーが参入。最近ではメガネブランドのJINSから目の動きから集中や眠気などを検知できるメガネ型ウェアラブルデバイス(スマートグラス)「JINS MEME」が登場したことも記憶に新しい。
このように近年多くのウェアラブルデバイスが登場しているが、これから先、ウェアラブルデバイス市場はどのように成長していくのだろうか?
矢野経済研究所が2016年5月16日に発表した、ウェアラブルデバイス市場に関する調査結果の内容を基に、2015年の実績、2016年の見通し、そして2020年におけるウェアラブルデバイス市場の将来予測について見ていこう。
ウェアラブルデバイス市場をけん引するのは?
2015年のウェアラブルデバイス世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで7105万9000台であった。カテゴリー別では、活動量計や睡眠計などの機能を持つスマートバンドが4637万台と最多。スマートウォッチが2218万台、スマートフォンの周辺機器として近年注目されているヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)が87万4000台、スマートグラスが78万台、その他(※)が85万5000台であったという。
※「その他」には、コンタクトレンズ内蔵型、ウェア(衣類)型、リング(指輪)型、ペン型、スポーツ用品内蔵型端末やペット用首輪といったウェアラブルデバイスが含まれる(以下同様)。
ウェアラブルデバイス市場をけん引んするスマートバンドについては、米国と中国が出荷台数を伸ばした。米国市場では米国医療保険制度改革法(オバマケア)の影響でスマートバンド需要が急増し、専業メーカーを中心に急成長を遂げているという。中国では、大手スマートフォンメーカーの周辺機器として低価格なスマートバンドが発売され、出荷台数を大きく伸ばした。
2015年はApple Watchが世界中で発売され、スマートウォッチの認知を広げた。その後、スマートウォッチを市場投入するメーカーが相次ぎ、スイスの時計ブランドであるタグ・ホイヤーからもAndroid Wearを採用したスマートウォッチが発売され話題となった。
スマートグラスに関しては、市場を開拓できるほどの有力な製品やサービスが登場せず出荷台数を伸ばせなかった。一方、HMDについては有力な製品が登場しなかったものの、アプリケーション開発が急速に進み、今後の市場拡大に向けた足掛かりを作ることができたという。
「プレイステーション VR」がHMDの出荷台数を大きく伸ばす
2016年のウェアラブルデバイス世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで1億1663万4000台(前年比164.1%)になる見込み。カテゴリー別では、スマートバンドが6700万台(前年比144.5%)、スマートウォッチが4226万3000台(同190.5%)、HMDが420万3000台(同480.9%)、スマートグラスが130万8000台(同167.7%)、その他が186万台だという。
スマートバンドは比較的低価格な製品が多く、急速に普及するものの、コモディティ化しており競合メーカー間での差別化やスマートウォッチとのすみ分け、収集するバイタルデータの高度化などが求められる。
スマートウォッチは本格的な普及期に入り、腕時計メーカーも相次いで参入(カシオ計算機は2016年にタフネス仕様のAndroid Wear搭載スマートウォッチを発売)。4G通信モジュールをスマートウォッチに内蔵した製品も既に出始めている。ハードウェア的にも大手半導体メーカーによるプラットフォーム化などが進み、今後より高性能で、完成度の高い製品が登場する見込みであるという。
2015年に引き続き、有力製品の登場が期待できないとされるスマートグラスに対し、HMDはスマートフォンをセットして利用できる製品が登場したり、ソニー・コンピュータエンタテインメントからプレイステーション4(PS4)用のHMD「プレイステーション VR」が発売(2016年10月予定)されたりと、HMDは大幅に出荷台数を伸ばす見通しだとしている。
2020年は、スマートウォッチが当たり前の世界に
2020年のウェアラブルデバイス世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで3億2278万台と予測。カテゴリー別では、スマートバンドが1億5410万台、スマートウォッチが1億3420万台、HMDが1775万台、スマートグラスが670万台、その他が1003万台になる見込みだという。
スマートウォッチ、スマートバンドは、スマートフォンの周辺機器としてだけでなく、ウェアラブルデバイス関連の中核機器への成長が期待される。特に、スマートウォッチに関しては、4G対応やNFCの利活用が増えることで「ポスト・スマートフォン」の地位を確立する可能性が高いと見ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
市場動向(組み込みソフト)
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー