調査レポートを読み解く
産業用ロボットがハックされる!? トレンドマイクロがサイバー攻撃のリスクを検証(2/3 ページ)
しかし対策には限界も……
ロボットの動きを制御するコントローラーの実体はコンピュータである。基本的に、攻撃はこの部分に対して行われることになるが、同社がセキュリティ分析を行ったところ、多くの場合、OS、ソフトウェア、ライブラリ、暗号方式、認証システムなどに脆弱(ぜいじゃく)性があることが分かった。悪意のある第三者がここを突いてくれば、前述のような事態が起こり得るということだ。
本来、工場内のロボットは外部のネットワークに接続する必要はないが、機器ベンダーの遠隔保守などのため、産業用ルーターを介して外部と通信可能な状態になっていることも多い。そこに脆弱性があれば、内部へのアクセスが可能になってしまう。
ロボットへの攻撃を防ぐためにはどうすればよいのか。上田氏は「装置そのものをセキュアに作り込むことがまず重要だ」と指摘する。
セキュリティを作り込む(セキュアに作り込む)という意味では、「セキュリティ機能を搭載すること」「脆弱性を作り込まないこと」の大きく2つのアプローチがあるという。
前者の場合、勝手にプログラムを書き換えられたりしないように認証の仕組みやデジタル著名のチェックを行ったり、後になって脆弱性が見つかって攻撃を受けても大丈夫なようASLR(アドレス空間配置のランダム化)やDEP(データ実行防止)を盛り込んだりといった手段が考えられる。また、こうした対策が万一突破されたとしても、異常を早期に検知できるようCPUやメモリなどのリソース消費状況を監視し、異常をすぐに発見できるようにしておけば、早期の対策が行える。
そして、後者については、開発時にいかに脆弱性を作り込まないかというアプローチである。例えば、静的解析ツールやファジングツールなどを有効活用することで、開発段階でできるだけ脆弱性を埋め込まないような作り込みを実践する必要がある。
ただ、新しく導入する設備をセキュアに作り込んだだけでは不十分である。現在稼働している既存のシステムへの対策も不可欠だ。特に産業用の機器は稼働期間が長く、古いものがそのまま残っていることがある。上田氏は「MS-DOSがいまだに動いているという話も聞く。昔のOSだから安全ということはなく、危険であることに変わりはない」と警鐘を鳴らす。
しかしユーザー側(製造業)には、アップデートしたくても、できない事情もある。アップデートにより、システムが動かなくなったら困る(安定稼働を阻害しては困る)ので、十分検証した上でないと対応できない。脆弱性が見つかったとしても、すぐにパッチを当てるのは難しい。また極端な例では、既にベンダーが倒産してしまっていて、サポートを受けようがないケースもあり得る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
特集(製造IT)
「製造IT」をメインテーマに、モノづくり関連セミナーのレポートやインタビューなどを多数掲載。製造現場の課題解決やカイゼン、意識改革に向けた第一歩を踏み出すためのヒントを提示します。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー