OKI Style
Kinectで多品種少量生産の効率をアップ、OKI富岡工場の取り組み
ATMや複合機メーカーという印象のある沖電気工業だが、そのモノづくりが及ぶ範囲は広い。その拠点の1つ、富岡工場では人の力を最大限に生かす多品種少量生産の仕組みが構築されている。
業務用複合機(MFP)やATM、電子交換機などを主力とするメーカーという印象が強い沖電気工業だが、これら以外にも航空管制システムや防災無線、現金処理機、自動券売機、電子機器受諾開発(EMS)など幅広い分野でのモノづくりを手掛けている。
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生産拠点は国内外に存在するが、主要生産拠点の中で、中国の深センにある沖電気実業有限公司とともにメカトロニクス機器生産のマザー工場として機能しているのが、群馬県富岡市にあるメカトロシステム工場(富岡工場)だ。
富岡工場はATMや現金処理機、自動発券機を主力生産品としており、製品の性質上、1日の製造数が10台に満たない小ロット製品も多数あることから、大規模な自動化ではなく、「人の力を最大限に生かす組み立てシステム」が随所に取り入れられている。
同社のモノづくりを紹介する冊子「OKI Style」の刊行を記念して行われたセミナーでは、多品種少量かつ断続的な生産を成功に導く施策の一部が紹介された。
大規模工場ながら板金加工はレーザー加工で
富岡工場では多くの生産品に対して、その部品製造から梱包までを一貫して手掛けている。多品種少量のためには、部品の内製化を進める方が効率的であるという判断の元であるが、内製化率を高めるということは、部品コストや加工精度などにおいて、外部購入と同等以上の優位性を持たなくてはならないことも意味する。この規模の生産拠点で、部品製造までを手掛けるのは珍しいケースといえる。
板金加工を例にすると、金属板から1つの金属部品を作る際に大量生産が前提であればプレス機が利用されるところ、この工場ではレーザー加工で切り出されている。
レーザー加工の方が少量生産に適しているが、プレス機に比べると1つ1つのバラツキ抑制という面で精度維持が困難となる。そのため、加工機の保守を社内人員が実施して生産機器への練度を高め、加工の精度向上とスピードアップを実現したという。
このような作業者と生産機械の“よりよい関係”を築くため、自社開発されたのが「情報統合マネジメントシステム(T-CAM:Tomioka Total Computer Aided Manufacturing system)」である。これはCAMに各種生産機械からのログ入力をはじめとした加工ノウハウの数値化と、作業員からのログ取得と作業指示を組み合わせたもので、汎用の加工設備を利用しながら、熟練工の加工ノウハウ数値化や生産活動の見える化を果たすものである。
市販のUSBカメラとプロジェクター、Kinectで多品種少量生産の効率をアップ
もう1つ、多品種少量では避けて通れない「人力による組み立て作業」の効率を最大化するために導入されたのが、「プロジェクションアセンブリーシステム」である。
作業員が組み立てを行う際、手順としては「部品配膳」「作業履歴の記録」「指示書の確認」「組み立て」となり、どれだけ習熟しても「部品配膳」「作業履歴の記録」「組み立て」より工程は短縮されない。しかも、その習熟に至るまでには時間を要する。そこで考え出されたプロジェクションアセンブリーシステムはどんな作業員であっても、すぐに「部品配膳」「作業履歴の記録」「組み立て」の3工程作業が行えるよう、補助するものである。
具体的には市販のプロジェクターとUSBカメラを用いる。プロジェクターにて作業台に部品の取り出し(配膳)と作業工程を映像で投影し、USBカメラで部品取り出し(作業履歴の記録)を判定する。カメラの映像は作業者の歩行や部品手持ちなど、正味の作業時間に入らない無駄な動きを検出するためにも利用され、短時間での作業改善を実現した。
USBカメラでは手元の映像しか確認できないため、大型作業スペースにおける無駄発見のためにマイクロソフトのモーションキャプチャーデバイスであるKinectも導入した。Kinectで「頭」「右手」「左手」の動きをキャプチャーして最適な作業動線を探ることで、「組み立て作業時における通路を挟む移動」といった無駄を発見し、さらなる作業効率アップにつなげている。
こうした改善により、富岡工場 生産技術部 部長の白崎吉則氏は「当初の狙いを超える効率向上が実現した」と報告するが、それ以上の効果として不良率の低下を挙げる。新方式導入によって、月20件を超えていた組み立て不良を5件にするという目標を掲げたが、実際には1件にまで減少し、プロジェクションアセンブリーシステム導入による不良率低下は目覚ましいものであったとしている。
富岡工場での取り組みはあくまでも一例であり、この他にも本条工場における工程間の仕掛かり適正化やサブGHz無線機による実装機の状態把握、設計から現地作業までを一貫対応できる高度人材「スーパー万能工」の認定など、各生産拠点では生産品に合わせたさまざまな取り組みが行われている。
加えて沖電気全体としては、生産拠点と顧客の設計拠点を仮想的に接続した「共創設計」やVR/ARを活用した生産訓練と作業支援、作業者と支援ロボットの共働、ビッグデータ/AIを活用した予兆保全など先進的な取り組みにも積極的な姿勢を見せており、「モノづくりにこだわる企業」としての存在感を高めていきたい考えだ。
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