産業社会におけるデジタル化の価値(3)
デジタル社会の進展に伴い重要性が増すセキュリティ対策(3/3 ページ)
セキュリティ対策
スマートファクトリー(つながる工場)では、一般的なネットワークと産業オートメーションネットワークがより緊密に連携するため、今まで以上にセキュリティ対策が重要となります。現実に、産業オートメーションネットワークに関連して以下のような事態が発生しています。
- ハッカーがウクライナの電力網へのリモートアクセスを図るためにデジタル証書を盗み出して30もの変電所への電力供給を不正に制御し、多くの顧客(約22万5000人)に影響を与えた。ハッカーは、カスタマイズされたファームウェアをインストールし、マスターブートレコードを削除し、電話通信のシャットダウンを行った
- ハッカーがマルウェアを使用してHVACの企業ネットワークに侵入。1億人以上の顧客の個人データが盗まれた
- BMWの車両に対し、第三者が遠隔からドアロック解除などの操作ができる脆弱(ぜいじゃく)性が発見された。クライスラーは、ハッキングによる遠隔操作の恐れがあるとし、ジープ車両140万台のリコールを発表した
製造業企業は、製品、プロセス、生産システムを改善するために、企業全体のデジタル化を図った場合、物理的な機器/マシンと、仮想的な製品設計データとの間の接続、より具体的にはリアルタイムなデータの流れが必要です。その企業は、生産やそれを超えるスマートデバイスへの効果的/効率的な接続を必要とするだけでなく、より安全なエコシステムが求められます。
そして、IIoTを実装する上で重要な側面は、緊密なセキュリティを提供する能力です。例えば、C-Labsは、2つのノード(マシン、機器など)間の通信エンドポイントを、全てのコールと同じ頻度で変更するロックステップセキュリティを使用するIIoT接続およびセキュリティソリューションプロバイダーです。これは30秒ごとに新しい番号/キーを表示するRSA暗号化ハードウェアキーに似ています。特定の通信プロトコル、デバイスおよびユーザーレベルの認証に対して、追加のセキュリティおよび暗号化レベルを設定できます。
サイバー攻撃はあらゆるレベルで発生します。それぞれに十分な対策をとるために、プラントセキュリティ、ネットワークセキュリティおよびアクセス保護など、複数のレベルで適用される、ISA 99/IEC 62443の勧告に基づく多層防御アプローチ(Defense in Depth)が有効となります(図3)。
プラントセキュリティ
プラントセキュリティは、重要なコンポーネントに対する人の物理アクセスを保護します。これは、人間の警備員による従来の建物アクセスから、IDカードを使用した機密領域のセキュリティ監視にまで及んでいます。産業機密が漏えいする危険性のあるシステムへの正当なアクセス権限のない人を近づけないことが目的となります。
ネットワークセキュリティ
重要なポイントは、ファイアウォールを使用して、製造用アプリケーションを一般的なオフィス環境内の不正アクセスから保護することです。個々のサブネットのセグメンテーション、例えばセル保護概念または境界ネットワークによるセグメンテーションは、さらなるセキュリティを提供します(図4)。
セル保護の概念では、プラントネットワークは、全てのデバイスが相互に通信できる個々のオートメーションセルに細分されています。アクセスは、特別に設計されたセキュリティアプライアンス(ハードウェア)を使用してセルの入口で制御されます。セルは、セキュアなVPN保護されたチャネルを使用して外部(例えば、他のオートメーションセルまたはインターネット上)と通信します。問題が発生した場合、損害は自己完結型の限定領域にとどめることができます。
境界ネットワークとの接続により、さらにセキュアな環境が提供されます。これはDMZ(非武装地帯)と呼ばれます。この場合、生産現場と他の企業ネットワーク間の直接通信は、ファイアウォールによって完全にブロックされます。データは、DMZ内のサーバと間接的にしかやりとりできません。これにより、外部からの不正なアクセスを防ぎながら、通信のための内部ガイドラインを確実に実装できます。
アクセス保護
この究極の目的は、ユーザーを認証し、特定の変更を行う許可を与えることです。集中管理されたユーザー管理により、十分に堅牢(けんろう)なパスワードと無効なログインの履歴が記録されます。
ポートのセキュリティは、RADIUSプロトコルを使用するか、永続的なMACアドレスを割り当てることによって実現できます。さらに、不要なサービス(Webサーバ、FTP、リモートアクセスなど)、インタフェース(USB、FireWire、WLANなど)、ポート(イーサネット、PROFINET)は無効にする必要があります。これにより、不必要な保護プロセスを削減し、監視する通信量を削減できます。知的財産を保護し、不正なアクセスを防止する手段は、設定プログラムなどで実装可能です。
接続されたPCは、アンチウイルスソフトウェアを使用して保護されています。ホワイトリストは、プログラムの実行対象をセキュリティで保護されたアプリケーションに限定します。不必要な、特に監視されていない脆弱性を避けるため、不要なサービス(Webサーバ、FTP、リモートアクセスなど)、インタフェース(USB、FireWire、WLANなど)、ポート(イーサネット、PROFINET)をブロックする必要があります。定期的なパッチおよびアップデートにより、外部からの侵入対策が常に最新の状態に保たれます。
今回は、最近注目を浴びているインダストリアルIoT、セキュリティについて取り上げました。産業のデジタル化の流れに伴い、セキュリティは非常に重要になってきますが、システム頼みではなく、個々に携わる人間がセキュリティの重要性をより深く認識し、日々業務で生かしていくことが極めて大切です。
次回は、いよいよ最終回、IIoTサービスモデル、深層学習やAIなどの最新デジタル技術が製造業に与える影響について述べたいと思います。お楽しみに! (次回に続く)
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産業社会におけるデジタル化の価値
「デジタル化」とは何か? デジタル化が産業社会にもたらす変化と価値について、全4回で解説する。
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