IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(9)
ソフトウェアテストの施策と運用(後編)――カギを握るテストの運用(4/5 ページ)
テストの妥当性を常時テストで判断する
AIやIoT、ビッグデータのシステムはテストケースそのものが正しいのか、テストを実行した結果が正しいのか、そしてテストの妥当性がどうなのかの判断は難しい。非決定的に動作することが多いこれらのシステムでは、テストの妥当性そのものが問題になるからだ。
これを解決する唯一の方法は、常時テストを実施し、それをユーザーとともに確認することである。開発メンバーだけの確認では妥当性が分からず、また妥協が入ってテストが甘くなってしまいがちである。実際に使用するユーザーによるテストが絶対必要である。現実的には常時テストはできても、その確認の場にユーザーがいつも参加することは厳しいかもしれないが、なるべく多く参加するように運用したい。常時ユーザー参加の理想郷になるべく近づけたい。
しかし常時テストにはデメリットもある。
常時テストのデメリットはコスト面ではなく、習慣化による「慣れ」である。常時テストを当然と思い実行できていることは良い状態であるが、慣れではなく惰性で実施する状態になってしまうと、本来の目的から逸れても歯止めが効かなくなる。
これを防ぐには、新鮮な目で見つめ直すことが必要であり、ソフトウェアテスト7原則の1つである「殺虫剤のパラドックス」と同様、新メンバーの投入が効果的である(関連記事:ソフトウェアテストのコストと品質―「テストの究極の問題」を考える)。
とあるテスト現場より(5)
A:「えー、いつもテストするんですか。嫌だな。面倒だな。逃げたいな」
B:「学生のときも毎朝、小テストをしていただろ。満点を取るまで永遠に繰り返しだ。」
A:「それにしてもテストが空気のように気にならなくなるなんて。これは、いじめられるのが好きなだけでは?」
B:「それであいつらはテストでバグを見つけられても喜んでいるんだな」
仕様の多様性に対応できるテスト運用
AIやIoT、ビッグデータのシステムでは要求は不確定で不安定で、仕様は未定で決定できず、実装はそのための対応に追われる。そして今まで言及してきた運用でさえも、結局、同様の運命にもて遊ばれることになる。
本来、テストケースは具体的に事細かに書く。しかし新時代のテストケースはそうならない。要求や仕様の多様性(別名:バラバラ)を許してしまうとテストケースは具体的に書けない。人間のように賢い英日翻訳を行うシステムに対して、どのようなテストケースを書けばいいのか。それ自体を決めることがシステムの命であり、具体的なテストケースを作ることに大きなコストが発生する。テストケースの具体的な答えは永遠に分からないかもしれない。
少々悲観的に書いたが、これを解決するためには「テストケースの弾力的運用」しかない。具体的には確定している場所(コールドスポット)では具体的なテストケースを作成し、不確定な場所(ホットスポット)では抽象的にテストケースを作る。火事場のようなホットスポットでは抽象化すら困難なこともあるだろう。囲碁ソフトならば「最強・鑑賞モードではエレガントで見る人を感動させる手を打つ」というようなテストケースになる可能性すらある。
テストケースを抽象度によって弾力的に運用するということは、設計にホットスポットを入れ、プログラム実装に間接的な操作を入れる事と同じと感じるかもしれない。しかし、テストは最後の防波堤であることを忘れてはならない。テストが曖昧では誰も最終確認できず、テスト自体の意味がなくなってしまう。
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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