IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(9)
ソフトウェアテストの施策と運用(後編)――カギを握るテストの運用(3/5 ページ)
新しい時代のソフトウェアテスト運用、よりダイナミックに
ここまで、従来のウオーターフォールとアジャイルにおけるテスト運用を見てきたが、AIやIoT、ビッグデータの時代ではアジャイル的なテスト運用の「先」を目指すことになる。このため、アジャイルのテスト運用で重要となる回帰テストの自動化と、効率的で弾力的な開発を行うことができるDevOpsによるテスト運用について見ることにする。その後にテスト運用のコツを紹介する。
回帰テストの運用、自動化と空気
アジャイルでは何回も繰り返し開発され、回帰テストは毎回実施する。AIやIoTでも要求が不確定であるので、やはり何回も回帰テストをする。このため、回帰テストを低コスト実施するための自動化が必須になる。
回帰テスト自動化の一歩目は、操作と確認に人手を介さずに機械化することである。ユーザー入力はイベント発生するプログラムに置き換え、出力の確認もプログラムに置き換える。このような技術的な施策やその運用は比較的楽に実施できる。現場だけの判断で可能なことも多い。
しかし面倒なのは上司やユーザーにテスト結果を報告することである。これも自動化しないと結局、コストは低下しない。テスト結果の記録を自動化し、報告書を自動作成しても、上司からの「分かりにくい」という一言で、手動でコストを掛けた報告書の作り直しが発生してしまう。
逆に一度、手動で報告書を作ってしまうと、もう自動化できない。上司が許してくれない。この悲劇を生み出さないテスト運用としては、テスト報告に文学作品を求めず、自動生成した報告書で運用することである。加えてテストの物理的コストだけでなく、テスト運用の心理的障壁(コスト)も低くする施策が必要である。しかしこの解決は困難である。
とあるテスト現場より(3)
A:「回帰テストは空気のようなものがいいんですか。でもそれだと、存在感がないというか、達成感がないというか……」
B:「会議中の君だよ。『はい、分かりました』の自動応答でコストゼロだし」
DevOpsという運用、運用とテストは混然一体
DevOpsとは Development(開発)とOperations(運用)を合わせた用語であり、開発と運用を別々でなく、融合した1個のものとして捉えることである。開発メンバーと運用メンバーが一致団結して進めるため、アジャイルのように継続的に開発をしていくときにマッチする開発であり、新時代の開発にもマッチする。
DevOpsの中でテスト運用はどうあるべきなのか。刻々と変化するシステム運用に応じてテストケースとその運用を変えていくことはいいことなのか。いいようにも思えるが、逆にコストばかり掛かる面倒なことではないのか。
IoTやAIの開発になると、開発メンバーや運用メンバーだけでなく、ユーザーや企画メンバなどが役割を越えて参入してくる。このためDevOpsにビジネスを加えたBizDevOpsが欲しくなり、さらにこれにユーザーも加えたUsrBizDevOps(この用語は著者の造語)が必要になるかもしれない。具体的な運用方法はこれから、ユーザーと一緒にビジネス観点で、開発者と運用者、企画者が一体化して決めていくことになる。
企画や要求を中心としたビジネス視点、運用面を中心にした視点、ユーザーからの視点、そしてテスト技術者も含む開発者からの視点を、とんぼの目のように複眼的に捉えて、テスト運用をする。具体的な運用の1つは登場人物が一堂に会する場を作ることである。オンライン上でもいいので、場を作り、そこで運用していくことが大事である。そして決められた時間を掛けて、その場に参加することを決める。
以上、回帰テストの自動化とDevOpsの考え方を見てきたが、以降は新時代のテスト運用のコツを紹介していく。
とあるテスト現場より(4)
A:「DevOpsって単にDevとOpsを合わせただけですよね。単純て言うか。それでよくテストでケンカにならないんですかね」
B:「いや、DevOpsのテストでは拳(こぶし)で語り合うんだ。」
A:「え、責任問題になったら、拳での殴り合いになりませんかね」
B:「10カウントで反論しなかった方の責任だ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー