3Dマシンビジョン
量産ラインで本格稼働する「3Dマシンビジョン」、その仕組みと導入メリット(3/3 ページ)
3Dマシンビジョンシステムの導入シーン
3Dマシンビジョンシステムの導入シーンと部品事例を以下に述べる。
- 人の作業の自動化
自動車製造や自動車部品製造の部品供給工程における自動化が進みつつある。しかし、現在は、ピッキング用ロボットがピックアップできるようバラ積みされた部品を所定の位置に配置し直すという、人の手による工程が必要であることがまだ多い。3Dマシンビジョンを導入することで、ロボットによるバラ積みピッキングが実現でき、人が行う工程をなくすことが可能となる。
なお、部品の積載状態はバラ積み状態だけではなく、下記のような平積み状態や准整列に対しても導入することが可能である。把持順序については部品の積載状態に応じて指定でき、バラ積み状態や平積み状態においては高い部品から順番に把持し、准整列状態においては指定の走査方向で把持することが可能である。
さらには、ドアパネルのように計測範囲(RV1100の場合、計測範囲は1.1×1.1m)を越える大型部品も適用できる。通常、計測範囲を超える部品の認識は難しいが、計測範囲内に収まる部分的なCADを用意することで、全体の位置姿勢を特定することが可能である。
また、人を危険作業から解放することも可能である。自動車メーカーでの溶接工程において、バラ積み状態の部品を人がピックアップして治工具にセットした後、人の近くでロボットが溶接する作業が行われることがある。このような状況に3Dマシンビジョンを導入することで、人の作業をロボットに置き換えることが可能となり危険から開放できる。
他の危険作業の事例として、プレス工程が挙げられる。例えば、ベルトコンベヤーを流れてくる鋳造部品を、人が持ち上げ手動でプレス機へセットする工程である。本工程も3Dマシンビジョンを導入することで、人の作業をロボットに置き換えることが可能となり、人がプレス機へ挟まれるという危険から開放することが可能となる。
- パーツフィーダの置き換え
生産ラインでは、バラ積みされた部品を1つずつ供給する装置としてパーツフィーダが用いられている場合もある。しかしながら、部品毎の作り込みと調整が必要な専用機となってしまうという課題がある。本工程を、3Dマシンビジョンでバラ積みされた部品を認識し、ロボットで部品を生産ラインへ供給する工程に変更することによって、複数種類の部品へ適用可能な汎用性の高いシステムへの置き換えが可能となる。
部品事例
キヤノンの3Dマシンビジョンで認識実績のある部品の一例を以下に示す。以下の通り、曲面のある部品や形状に特徴の少ない部品、複雑な構造をした部品など、さまざまな部品に対して高精度に三次元認識することが可能である。量産ラインへの導入実績のある自動車部品としては、クランクシャフト、コンロッド、サイドメンバーなどが挙げられる。
進化する3Dマシンビジョンシステム
キヤノン「RVシリーズ」は2014年4月の販売開始以来、寄せられる課題や要望に応えるためのバージョンアップを実施しており、今後もさらなる進化を図る予定である。これまでのバージョンアップの事例を以下に述べる。
- 認識処理過程の詳細表示機能
認識処理過程の詳細を10個のステップに分けて表示する機能を追加して、それぞれのステップの判定結果を確認しながら、パラメータを調整できるようにした。本機能の追加により、量産工場の生産技術者やシステムインテグレーターが、自らサンプルテストや生産ライン適用前テストを実施できるようになり、スムーズにシステムを生産ラインに適用できるようになった。
- 測距値ずれの簡易点検機能
計測範囲内に配置されたマーカーの位置を計測することで、マシンビジョンの測距値の変化をモニタリングできる機能を追加した。本機能によりキャリブレーションが必要なタイミングを自動的に通知することができるようになり、生産ラインのダウンタイムを最小限にすることが可能になった。スライダでマシンビジョンを動かして使用しているお客さまへ、特に推奨している機能である。
3Dマシンビジョンを利用することにより、人手に頼っている多くの部品供給工程を自動化することができ、工場の生産性を大幅に向上できる。キヤノン「RVシリーズ」においては累計100セット以上を販売しており、最近では、量産工場での複数ラインおよび複数部品での利用も進んできている。これは、製造業における3Dマシンビジョンシステムの有用性が認められ、製品としても実用性が高まっていることの証であると考えている。
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