IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(6)
ソフトウェアテストの試練(前編)―IoTとAI、ビッグデータの試練を乗り越える開発(3/4 ページ)
アジャイル開発ではテストもアジャイルになり、繰り返しテストをすることになる。このため、1回1回のテストを効率良く、もっと言えば、自動化する必要がある。アジャイルでは毎回の反復開発でテストは必須であり、特に回帰テストは自動化する必要がある。テストの自動化なくしてアジャイルはなしである。
アジャイルにおいて仕様は刻々と変化しているので、テストも変化しなければならない。回帰テストで行う不変なテストと、仕様変更に伴い変化していくテストを分離する。これがアジャイルにおけるテストのオキテである。もちろん、これはテストだけでなく、設計についても同じことがいえる。
しかしこの要請はIoTやAI、ビッグデータの時代になると対応が非常に困難になる。どうしても変動点と不動点は砂上の楼閣になってしまう。従来のアジャイルでは対応できないのだ。
IoT時代のソフトウェア開発に求められるもの
IoTやAI、ビッグデータのソフトウェア開発は従来のウオーターフォールやアジャイル開発では対応できない。新しい時代に応じた新しい開発が求められる。
IoTシステムでは多種多様のIoTデバイスが複数のITシステムにつながり、それが常に拡張され、分散管理される(図3)。従来の組み込み系ソフトウェアとエンタープライズ系ソフトウェアの両者の特徴を併せ持つため、デバイスとシステムは複雑に接続されながら常時拡張され、流れるデータの種類と量は増え続け、分析も困難になる。
このため、現時点では未知のIoTデバイスやITシステム、機能やデータがあることも想定する必要がある。これからIoTシステムの開発、その中の企画から要求分析、設計、製造、そしてテストと運用もこれらに対応する必要がある。
従来、組み込み系ソフトウェア開発では、規模が小さく、それほど複雑でなかったこともあり、比較的アジャイル開発の導入が進んでいた。また基本部を作ってから派生製品を開発していく派生開発が多かった。
一方でエンタープライズ系のITシステムの開発では規模も大きいこともあり、管理や見積もりがしやすいウオーターフォールが比較的多かった(*)。
*IPA/SEC のソフトウェア開発データ白書2016-2017(p.51)では96.8%がウオーターフォール型開発である。一方、組み込みソフトウェア開発データ白書2015(p.37)ではウオーターフォール型開発は88%であり、反復型開発と段階的開発を合わせると12%になる。つまりアジャイルの比率はエンタープライズ系と比較して、組み込み系の方が高い。
IoTでは組み込み系開発とエンタープライズ系開発の文化がぶつかる。IoTデバイスとITシステムで別々の開発プロセスを採用して開発することもあるが、それでは管理しにくいため、両者で同じ開発プロセスを採用したい。その候補としては、アジャイルとウオーターフォールのハイブリッドなプロセスになるだろう。
ソフトウェアテストもハイブリッドになるだろう。このときも不変部(基本部、不動点)と可変部(派生部、変動点)に分離することは重要である。しかし可変部と不変部の2者だけでなく、中間的な階層が必要になってくるだろう。これらを図4に示す。
派生製品を開発するときには、仕様変更(テスト変更も当然含まれる)は可変部のみの入れ替えになるのが望ましいが、そのために可変部を大きくするのも良くない。可変部と不変部を分けるためには、未来を予想しなければならず、これは困難な問題である。それを複数の部分に分けるのはさらに難しい。
とあるテスト現場より(3)
A:「IoTって、組み込み系なんでしょうかね。それともエンタプライズ系?」
B:「まぁ笑いとウケを狙っているからエンタ系かな」
A:「それってエンタテイメント。って先輩がボケないでくださいよ」
* 普通はエンタ系と略さず、エンプラ系と略す
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IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
言うまでもなくソフトウェアテストは重要だが、IoTやAIなどの新しい概念によってソフトウェア自体の在り方が変わりつつある中、旧来からのテストを踏襲するだけでは成果は得られない。新時代のソフトウェアテストについて、考察する。
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