スマート工場 EXPO
つながる工場「だけ」ではダメか――日本製造業の今後に必要な“横軸”(2/3 ページ)
マスカスタマイゼーションは「カスタマイズ」か「マス生産」か
製造業のデジタル化やスマート工場といったテーマを語る際、具体的な目的の1つとして挙げられることも多い「マスカスタマイゼーション」(大量生産と同様のスピードやコストで、一品モノのようなカスタム製品を作り出すこと)だが、果たしてその理解は正しいのだろうか。
マスカスタマイゼーションについて意見を求められた西垣氏は「マスカスタマイゼーションとは個別へのカスタマイズ、個別受注生産ではなく、『市場ニーズに対応していくこと』を突き詰めた結果として捉えるべきでしょう」と述べ、これに村田氏も同調する。
「Amazonが顧客1人1人に異なるページを表示するよう、デジタルの領域では個別のニーズに対応することが当然となっています」。村田氏はこう述べ、製造業におけるマスカスタマイゼーションも同様であり、ニーズにどれだけ対応できるかの具体化として発生した生産概念であるとする。
マスカスタマイゼーションの例として著名なのは、ハーレー・ダビットソンのヨーク工場だ。Webサイトからフルカスタマイズの注文を受けると、必要な部品のリストが生産計画に組み込まれ、同時に在庫確認や手配も行われ、このヨーク工場で組み立てられる。
ヨーク工場に設置されているあらゆる機械にはセンサーが取り付けられており、注文にあわせて1台1台仕様の異なるバイクを効率的に生産する仕組みが構築されている。しかし、このマスカスタマイゼーションは最終的な組み立て工程だけではなく、注文や在庫の管理、作業手順の提示、生産された製品の発送など、組み立ての前後工程までも構築されていなければ実現しないものだ。
ヨーク工場の事例は生産現場の改善だけではなく、ハーレー・ダビットソンが顧客に対して「どのような価値を提供するのか」という本質的な問に答えた結果、生まれたものといえる。そうした事例を紹介する際に必ず出るのが「これからはソフトが価値の源泉になる」という論調だが、ソフトウェア会社のSAPジャパンに勤務する村田氏は「ソフウェア(会社)の人間ですが」と前置きしながら、それを明確に否定する。
「ソフトウェアとハードウェアは両輪の存在であって、(価値を提供する際に)あわせて提供することが欠かせません。2つの価値の良いどこ取りを行うべきであって、その事象の1つがマスカスタマイゼーションといえます。製造技術という縦糸がしっかりしていないと、ソフトウェアという横軸も価値を発揮できないのですから」(村田氏)
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