東京工科大学 創立30周年記念公開講座
AI研究の第一人者、松原教授が語る「人工知能は未来をどう変えるのか」(3/5 ページ)
二度あることは三度か、三度目の正直か
人工知能の発端をさかのぼると、1949年にクロード・シャノンが論文「チェスのためのコンピュータプログラミング」としてプログラムにチェスをさせる方法を発表し、同時期にアラン・チューリングがコンピュータチェスのプログラムを書き始めている。現在のコンピュータの原型が作られたのが1930年代から40年代にかけてなので、わずか10年ほどで「コンピュータに知能を持たせる」という考え方が出ていることになる。
最初からコンピュータにゲームをさせるという発想だったのも面白い。コンピュータが知能を持つといったときに、ゲームの強いプログラムができて、それが人間の名人に勝つというのが理解してもらいやすいということなのだ。
1956年、アメリカやヨーロッパでいまで言う人工知能の研究をはじめた若手研究者がダートマスという北米の街に集まってワークショップを行った(ダートマス会議と呼ばれる)。そこでジョン・マッカーシーが自分たちの研究分野をAI(Artificial Intelligence)と呼んだのが広く受け入れられ、AIと呼ばれるようになった。
松原氏 始まったときというのはブームなんですよね。このときはいまから思うと楽観主義。コンピュータにはメモリという記憶するところがある、CPUという計算する大脳に相当するところがある。これは、人間に相当する能力を持った世界で、なおかつ人間はすぐに飽きたり、サボったり、間違えたりするけどコンピュータは言われたことを淡々とこなすから、すぐにコンピュータのほうが人間に追い付き、追い越すんじゃないという楽観的な見方がありました。みんな当時はそう思っていたそうです。
現在からすれば当時のコンピュータはいまのスマホよりも性能が低い。けれど、コンピュータに対して楽観的だったのと同時に、人間の能力、人間の知能を過小評価していたんです。ところが人工知能は研究すればするほど、人間は偉大だと再確認する分野なんです。私もずっと人工知能を研究していて、そのたびに痛感させられています。
日本で人工知能が大きく紹介されるようになったのは2回目のブーム、1970年代に登場した「エキスパートシステム」だ。
医師の資格を持つ人工知能の研究者が作った医療エキスパートシステムがそのはしりで、自分の医学知識をコンピュータに入れて、患者さんのデータを入力すると病名を推定して、治療方法、具体的な薬の処方を出力するというものだ(ある特定の種類の病気に限定される)。
これが標準レベル以上の結果を出したということから、世界中で法律、金融、製造業など、ありとあらゆる分野のエキスパートシステムが研究され始めた。日本にもその流れが波及し、通産省(現・経済産業省)が主導して第5世代コンピュータのプロジェクトが始まった。日本人工知能学会の立ち上がったのもこのときだ。
しかし、当時まだコンピュータの性能が低かったり、すぐに実用にならない、などさまざまな理由もあってブームは崩壊してしまう。そして、いま世界的には3回目となるブームのまっただ中だ。
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