戦略コンサルの論考を変革のヒントに(2)
ハード屋がソフトの世界で成功するための5つのヒント(2/3 ページ)
うまくいかない企業の共通点
ハードウェアメーカーにとって、これは簡単なことではありません。用意したソフトウェアソリューション/サービスが的外れということもあれば、それはうまくできていても、市場参入の壁を乗り越えられず売り上げ目標に届かない場合もあるでしょう。
ボストン コンサルティングの経験に基づくと、うまくいかない企業にもやはり共通点があるそうです。第一に挙げられているのは、ソフトウェアソリューション/サービスではターゲットとする顧客層が自社の旧来のハードウェア事業で抱える顧客基盤と異なるにもかかわらず、彼らに対して十分なバリュープロポジション(顧客が求める価値のうち、自社のみが提供可能なもの)を訴求できない商品を開発し、投入してしまうことです。
そうした企業は、適切なビジネスモデルも策定できていません。例えば、旧来のハードウェア事業と変わらず、装置にソフトウェアをバンドルして提供し、一度販売したら収益機会がなくなってしまうモデルのままであり、ソフトウェアを単体の商品として提供し、使用期間などに応じて課金するサブスクリプション型のモデルに移行できていないといった具合です。
さらにこの論考では、うまくいかない企業は市場参入戦略に落ち度がある場合も多いと指摘します。そうした企業はこれまで、目に見える物理的な製品を顧客企業に販売するために営業担当者をトレーニングしてきました。その担当者が今度はソフトウェア製品を、相手企業の情報担当責任者や、サプライチェーン管理/保守管理業務といった各領域を担当する上級管理職、さらにはその企業が抱えるエンドユーザーに対して売らなければなりません。特に最終ユーザーが一般消費者になるB2B2Cのソフトウェアビジネスでは、これまでのハードウェア事業と根本的に異なる新しい営業プロセスを確立する必要があります。
実際にはハードウェア企業の多くは、ソフトウェアソリューションをハードウェアにバンドルしない形の独立した事業として手掛けるには至っていません。ソフトウェアやサービスの事業は、ハードウェアのそれとは根本的に異なるエコシステムの中で運用する必要があり、サプライチェーンも別物だという事実を、消化し切れていないのが現状です(図1)。
またボストン コンサルティングは、ほとんどのハードウェアメーカーが「ソフトウェアソリューション/サービス事業で成功するための適切なスキルセットと組織構造を備えていない」と指摘しています。そうしたメーカーは“ライフサイクルが長い機器を量産し、その販売時を唯一の収益機会とする企業”から、“顧客にフォーカスし、ライフサイクルが短い製品をアジャイルに提供できる企業”へと、自社を変革しなければなりません。そのためには、ソフトウェア製品におけるマネジメントやエンジニアリング、顧客サポートの能力を獲得する必要があります。
この変革を成し遂げることは、とても重要です。複雑なシステムで使われる高度な製品を手掛けるハードウェアメーカーは、新たなソフトウェア製品によって価値を獲得できる可能性のあるポジションにいます。それを見過ごすことの機会損失もさることながら、この変革を進めなければ、単なるコモディティ製品のサプライヤーになってしまうリスクも抱えます。自社の顧客にとっての窓口になるようなソフトウェアソリューションを、もし他の企業に握られてしまったら? こうした状況から、ハードウェア企業はソフトウェアソリューション/サービスに取り組む必要性に迫られています。
成功を収めるための5つのヒント
では、ハードウェアメーカーがソフトウェア事業で成功するにはどうすればよいのでしょうか? ボストン コンサルティングの論考では、次の5つのポイントを挙げています。
- バリュープロポジションを見極める
- 適切なビジネスモデルと収益モデルを構築する
- 適切な製品を設計する
- 新たな能力と市場参入戦略を取り入れる
- 適切な指標を導入する
順番に見ていきましょう。
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戦略コンサルの論考を変革のヒントに
大企業の上級役職者や経営企画室メンバーでもなければ、仕事で関わる機会がほとんどない戦略コンサルティング企業。でも、モノづくり業界の皆さんにも役立つ論考や調査レポートを、実はたくさん発信しているのです。そうした情報を筆者がピックアップして紹介する連載。
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