沖縄モノづくり新時代(2)
沖縄漁師の経験と勘を未来へつなぐ、IoTによる環境モニタリングが秘めた可能性(3/3 ページ)
今後の課題は、運用・管理体制か
今後、実用に向けた課題は、無線で環境データを収集するというコンセプトや技術ではなく、運用・管理といった側面にあるようだ。知念漁協の担当者は、「期待は非常に大きいが、まだ運用に乗っていない」「可能性はものすごくある。ただ、今のままの状況では厳しい」という課題感を打ち明ける。
1つ目の課題は、センサーと無線デバイスを含めたセンサーブイ全体の消費電力である。
Wi-SUNの無線デバイスそのものの消費電力は極めて低いものの、水温と塩分濃度のセンサーを含めた全体で見ると、現在の海上ブイはおよそ1カ月に1回のペースで電池を交換する必要がある(電源は単1電池が24本)。前述の通り、海上にあるブイの電池を取り換えるには、わざわざ船を出す必要があり、作業にも手間が掛かる。電池容量を増やしたり、消費電力がより低いセンサーを活用したりするといった対策が必要だろう。
もう1つの課題は、台風や暴風のときの対策だ(図8)。夏の時期になると沖縄には頻繁に台風が直撃する。海上ブイは、切れて流れると産業廃棄物になってしまうため、台風の際には陸上に回収するなど、きちんとメンテナンスする必要がある。このメンテナンスをどのような体制で実現するのか、本格導入の際に課題になりそうだ。
この他、収集したデータを漁師にも分かりやすく、スムーズに共有できるアプリケーションサービスも必要だろう。「『今の海中の温度は?』という漁師の質問にすぐに答えられる使い勝手の良いアプリケーションサービスが必要だ」(漁協担当者)。
こうした幾つかの課題があるものの、IoTを活用した海上環境のモニタリングの実用化に向けて、第一歩を踏み出した意義は大きい。沖縄のもずく養殖の課題を解決する今後の展開に注目したい。
筆者からのメッセージ:「地方×モノづくり」で課題解決、魅力発掘!
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や、魅力発掘の後押しとなる――。このような考えの下、「沖縄モノづくり新時代」と題した本連載では、沖縄という地方を例に、モノづくり/エンジニアリング技術を活用し、地方が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む事例や、地方の魅力を掘り起こしていく事例に焦点を当てていく。
漁業や農業、林業といった第一次産業のみならず、観光・サービス業などさまざまな領域に深く関わり、地方の活性化を下支えするモノづくり/エンジニアリングの話題に注目してほしい。
特集:IoT Watch
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)にまつわる業界・企業動向、技術トレンド、IoT活用ソリューション、IoT構築支援サービスなどの情報をまとめてお届け!(特集ページへ)
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沖縄モノづくり新時代
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄だ。
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