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何のために3D CADを導入するのか――あらためて、その目的を明確に設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(11)(1/2 ページ)

設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第11回では前回に引き続き、3D CADの選び方について掘り下げる。

» 2017年08月09日 09時00分 公開

 前回に引き続き、「3D CADの選び方」についてお話します。

 皆さんは、2017年6月21〜23日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「第28回 設計・製造ソリューション展DMS2017)」には行かれましたでしょうか? 筆者は会期2日目に見学しに行きましたが、多くの来場者が詰め掛け、各社ブースで熱心に話を聞いている様子から、日本のモノづくりの盛況ぶりがうかがえました。

 DMS2017の会場では、「世界で一番売れている3D CAD」「100万部品を0.2秒で処理する3D CADエンジン」「クラウド上のプラットフォームでつなぐことができる、今までにないCAD/CAM/CAE」「操作のしやすいCAD」といったうたい文句を掲げる、複数の3D CADメーカーが出展。各社ブースの展示デモやプレゼンテーションに足を止めて聞き入る来場者も多く、3D CADのニーズを強く感じるとともに、これだけデジタルエンジニアリングが進んでいると思われている今日でも、まだまだ導入需要が高いことをあらためて認識しました。

 また、CAEやPLMのメーカー/販売代理店のブースも盛り上がっていました。3D CADの導入需要の高さと併せて考えてみると、これから3D設計を推進していこうという企業から、導入効果をより高めるため、さらにその先に進もうとしている企業まで、実にさまざまで、3D設計の進捗(しんちょく)具合に格差があることも痛感しました。

 DMS展は、前回取り上げた「情報収集・RFI(情報提供依頼書)の作成と送付」を行う上でも、非常に参考になる展示会ですので利用しない手はないでしょう。そして、既に3D CADを導入している企業にとっても、既存製品の注目機能や次期バージョンで搭載予定の新機能に関する情報を収集できる(意見交換ができる)有意義な場となっております。筆者もあるメーカーの展示ブースで、装置アセンブリ上での配線を行う開発中の機能を少しだけ見せてもらいました。もし、このような展示会にまだ足を運んだことがないのであれば、ぜひ一度見学してみるとよいでしょう。


「3D CADを使用することが目的」になってしまった悲しい事例

 長らく2D CADを使用してきた方であれば、その製品のつながりで、メーカーや販売代理店から3D CAD製品の紹介を受けたことがあるかと思います。2D CADでうまく業務が回っている状態であっても、「これからは3D CADですよ」とメーカー技術者の素晴らしいデモを目の当たりにしてしまうと、つい心が揺らいでしまうものです。

 ただ、勢いだけで3D CADの導入を決定してはいけません。普段使っている2D CADと同じメーカーだから大丈夫という保証もありません。ここで重要となるのが、「何のために、3D CADを導入するのか?」という目的が明確化されていることです。前回、筆者の失敗例を紹介しましたが、「3D CADを使用することが目的」になっていると非常に危険です。

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