IT導入プロジェクトの成功を左右する“3大要素”とは:インドネシアにおける日系製造業のIT事情(5)(1/2 ページ)
インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポート。第5回では、ITプロジェクト成功のための“3大要素”について取り上げる。
一口にIT事情といっても
IT事情といっても、そこにはネットワークやハードウェア環境などのインフラと、それらを利用して提供されるアプリケーションソフトウェアがある。筆者が所属するアスプローバ(当社)の場合、工場のみを顧客としているので、金融や流通向けのアプリケーションシステムや情報系のシステムには詳しくないが、製造業の基幹システムについては多くの知見を持っている。
成功している基幹システムと失敗している基幹システム
以前にも書かせていただいたが、当社製品の場合は、顧客の付加価値システムとなるために、顧客に基幹システムが導入されてからの検討となる。
例えば、インドネシアの代表的な産業である自動車製造業では、OEMやティア1には既に基幹システムが導入されている。日本も含めてグローバルなシステムが選択されている例が多い。なぜなら、ノンカスタマイズで導入できるからだ。それらの企業は入力されるデータ精度に苦しんでいるが、時間がたてば落ち着いてくるとみている。
悲惨なのは、ティア2以下の企業だ。予算規模からか日本製のカスタマイズを売りにする製品を選択し、導入に失敗している。要件定義ができないインドネシアのプロジェクトでは、カスタマイズ製品はリスクが高いといえる。その他、現地のシステム会社が開発したパッケージソフトウェアも散見されるが、導入後の製品保守や開発元の事業継続に問題がある。
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アスプローバ製品はどうなのか?
もちろん、他社製品ばかりを非難する立場にはない。当社製品もノンカスタマイズ製品とはいえ、その機能の全ては日本で開発されたものであるから、インドネシアの顧客には機能が多過ぎる。いわゆる「ガラパゴス製品」だ。
そこで、当社は「ライト版」というアジアの顧客に必要不可欠な機能のみを搭載した製品を開発した。ライト版といっても、正式版と製品モジュールは同じで、顧客の生産スケジューラ利用技術の向上や要望の高度化に合わせて、追加機能をオプションとして提供できる。欧米系のERPシステムのように、スモールスタート版といっても、正式版とは製品が異なり、アップグレードする際に顧客が過去の情報資産を捨てなければならないような不利益はない。
ITプロジェクト成功のための3大要素
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