「試作できない工場」が取り組んだ全体最適化、日立大みかの目指すスマート工場の姿:シリーズ「モノづくりの現場から」(日立製作所 大みか事業所)(1/2 ページ)
スマート工場の目標を端的に言えば、「新手法を取り入れた生産性向上」である。このテーマに2000年代前半から取り組む日立 大みか事業所のシステム設計担当者が発した「現在が変わって、初めて意味がある」という言葉の真意を探る。
スマート工場は「現在が変わって、初めて意味がある」
製造業において近年話題となっている「スマート工場」の目標は、誤解を恐れずにいれば「新たな手法を取り入れることによる生産性の向上」といえる。実現に向けたアプローチとしては「つながる」ことによる可視化や製造業IoT、CPS(Cyber Physical System)の概念導入などが存在し、その成果として、多品種少量生産の工程最適化やトータルコスト低減、人手不足の解消といった果実を得ることが、スマート工場の目的だ。
制御盤を始めとした制御装置を生産する日立製作所の大みか事業所はこうしたスマート工場のモデルケースの1つとして注目されており、近年では蓄積したノウハウや取り組みを「日立大みか事業所 IoT適用事例ご紹介コース」という研修プログラムとして社外に公開するなど、「スマート工場の具体化」について先行している。
2000年代前半から見える化に取り組み、工場のスマート化に深い知見と長い経験を持つ大みか工場はどのように改善を進め、IoTやAI、そしてARなどの技術が台頭する現在、どんな未来像を描いているのか。システム設計担当者が発した、「現在が変わって、初めて意味がある」という言葉の真意を探る。
◎「スマート工場」関連記事 〜導入事例、近況、解説〜 など:
» デジタルツインで“カイゼンの自律化”を目指す、「NEC DX Factory」の狙いとは
» パナソニック佐賀工場は2つの顔を持つ、全長100mの生産フロアで見たスマート工場の可能性
» 標高10mの現場IoT「i-BELT」が本格展開、500億円規模を狙う
制御盤のリードタイムを半減した、4つの生産システム
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「設備」とともに「人」も成長するスマート工場、ジェイテクトが導入事例を紹介
「第2回 スマート工場EXPO」の特別講演で、ジェイテクト 取締役副社長 兼 工作機械・メカトロ事業本部長の井坂雅一氏が登壇。「人が主役のスマートファクトリー」をテーマに、ジェイテクトのIoE(Internet of Everything)ソリューションの導入事例を交え、同社の取り組みを紹介した。 - 製造業が変わらなければならない「理由」とスマート工場の実現に必要な「視点」
IoTは、スマート工場を実現する上で欠かせない要素の1つである。しかし、単に無数のデータをかき集め、それらを見える化するだけではスマート工場の実現どころか、IoTの真の価値を引き出しているとは言い切れない。意味のあるデータを集め、必要な時に、必要な人に、必要な場所に価値ある情報を提供することが、製造業におけるIoT活用の第一歩だ。マツダやGMに自動車部品などを供給するティア1サプライヤーのヒロテックの取り組みを交え、スマート工場を実現する意義や実際の進め方などを詳しく紹介する。 - ファナック、稲葉会長が語る「FIELD System」の全容とその狙い
「FIELD System」は、2017年10月に提供開始されたファナックが中心となる製造業向けIoT基盤だ。“製造を止めない”を価値とするファナックのIoT基盤、その全容とビジョンを稲葉会長が語った。 - 機械と人の融合が可能にした最高画質、4K有機ELテレビはこうして作られる
パナソニックが販売を開始した「ビエラ史上最高画質」をうたう4K有機ELテレビ「TH-65EZ1000」、その生産拠点が宇都宮市に存在する「モノづくり革新センター」だ。機械化と匠の技、その融合で最高画質製品は作られている。 - NEC・レノボ製品の“1日修理”を実現するNECパーソナルコンピュータ 群馬事業場
レノボ・ジャパンは、NEC製PCの保守サポートサービス拠点であるNECパーソナルコンピュータ 群馬事業場(群馬県太田市)でのレノボ製PCの修理サポート業務開始を受け、プレスツアーを開催した。NEC製品とレノボ製品の修理サポートを一手に引き受ける工場内修理の取り組みとは?