「長篠の戦い」に重要なのはIoTという「鉄砲」ではない:インテル
製造業におけるIoTを語る際、「目的を確かに定めること」の重要性を指摘する声が高まっている。半導体大手インテルは自社工場の取り組みを紹介しながら、目的を定めるリーダーシップの必要性を説く。
製造業IoTを取り巻く3つのメガトレンド
インテルは今も半導体の巨人であるが、チップを開発製造するだけの企業ではなくなっている。ここ数年の動きだけを見ても、2015年にFPGA大手のアルテラを買収、2016年には人工知能プラットフォーム「Nervana platform」を発表、2017年には自動運転技術のMobileyeを買収するなどその活動範囲を拡大しており、2017年3月には日本法人社長の江田麻希子氏(当時)が「データにまつわる全てに関わる“データカンパニー”になりたい」と、立ち位置の変化を鮮明に語っていた。
2018年6月28日に開催した「インダストリアル IoT ソリューション DAY」は、エッジコンピューティングを中心に、AI(機械学習、ディープラーニング)やマシンビジョン、データ分析、ワークロード統合など、さまざまな製造業向けIoTソリューションを紹介するイベントであり、半導体(プロセッサ)の話題はごく一部で触れられたにすぎない。
イベントの冒頭に登壇したTrish Blomfield氏(IoT Asia G Director)氏は「以前であれば10年が必要だった変化が、いまでは3年で起きる」と、他産業に比べて変化が緩やかであるといわれる製造業であっても変化のスピードは加速しており、その変化に対応していくための準備が必要だと力説する。
Blomfield氏はこれまでに3回起こった産業革命を例示し、世の中の変化は産業界/製造業がリードしてこそ加速すると語り、現在、製造業に起こっている変化を「3つのメガトレンド」に分解した。それは「IoTの普及」「エッジの重要性」そして「不可欠になるAI」である。
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