半導体の巨人が迫られる、コト売りへのシフト:TechFactory通信 編集後記
AIの進化と普及は、半導体の巨人であるインテルにも「モノ売りからコト売りへのシフト」を迫っているように見えます。
半導体の世界には有名な「ムーアの法則」があります。米Intelのゴードン・ムーア氏が1965年に「半導体の集積度は2年で倍増する」ことを予測したもので、実際に同社は半導体の集積度増とそれに起因するプロセッサのパフォーマンス向上を成長の基盤としてきました。
ムーアの法則はこれまでに幾度となく限界が叫ばれましたが、そのたびにさまざまな手法を用いて集積度の向上が図られました。そして2017年の現在、Intelは10nmプロセス製品の量産を準備しており、同社は法則の有効性を主張し続けています。ただ、性能向上のペースが鈍化しつつあることも事実です。
この記事は、2016年10月31日発行の「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載されたTechFactory担当者による編集後記の転載です。
量産準備中の10nmより微細化を進めた7nmや5nmの研究開発にも着手していますが、微細化は物理的な限界に達しつつあると指摘する声もあります。シリコンチップではなく、光や量子を用いたコンピューティングによる性能向上を目指す道もありますが、そうした新たなアプローチの先行きは不透明です。
単純な半導体微細化が難しくなりつつある昨今、Intelから頻繁に打ち出されているのが、「自社の研究開発する半導体をどう使ってもらうか」という産業育成型とも呼べる取り組みです。2017年の1月に行われた展示会「CES 2017」では、CEOのブライアン・クルザニッチ氏がVRや自動運転、5Gネットワークへの取り組みをアピールするなど、コンピューティングの基盤を提供する企業としての立ち位置を確立しようとしています。
こうした変化について、インテル社長の江田麻希子氏は2017年3月2日に行われたプレスカンファレンスにて「データにまつわる全てに関わる“データカンパニー”になりたい」と未来像を語っています。データカンパニーを指向する上で欠かせないのが、データの効率的な利用であり、そのカギを握るのがAIでしょう。
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