PTCが「Creo 5.0」を発表、トポロジー最適化や金属3Dプリンタ連携などを強化:3D CADシステムの最新版
PTCは、3D CADシステムの最新版「Creo 5.0」を発表。新たに、トポロジー最適化や熱流体解析、金属3Dプリンタ出力などに対応した。
PTCは2018年3月、3D CADシステムの最新版「Creo 5.0」を発表した。今回は新たに、トポロジー最適化や熱流体解析、金属3Dプリンタ出力などに対応した。日本での販売は同年3月28日に開始した。
◎編集部イチ押し関連記事:
» 課題解決に役立つ「3D CAD」をどうやって評価・選定すべきか?
» 何のために3D CADを導入するのか――あらためて、その目的を明確に
» 失われつつある“設計力”を回復できる職人気質の3D CAD「Creo」
Creo 5.0に搭載したトポロジー最適化では、生成される形状がポリゴンではなく、境界表現になっており、そのまま3D CADでの設計で利用可能だ。トポロジー最適化は、ユーザーがあらかじめ指定した寸法や荷重などの条件に応じて、形状が生成される機能だ(トポロジー最適化は、バージョン5.0.01での実装になる予定)。
「Creo Flow Analysis Extension」(FAE)は熱流体解析ツールで、Creoの環境に統合されている。3D CADから直接、熱流体解析が実行でき、メッシュは自動生成する。同社のパートナーである流体解析ツールの開発元、Simericsの技術を利用している。同ツールはユーザーのスキルに応じた「Basic」「Plus」「Premium」の3種類を備える。Basicは基本的な熱流体解析機能を備え、乱流解析にも対応する。Plusでは粒子や熱放射、混合液体、スライディングメッシュに対応する。さらにPremiumでは、蒸気や気泡などの解析、多相状態や多成分など、高度な機能に対応する。
「Creo Additive Manufacturing Plus Extension for Materialise」は金属3Dプリンタとの連携機能であり、PTCのパートナーである Materialiseの金属3Dプリンタのオンラインライブラリに直接接続してプリンタドライバやプロファイルを利用する、金属3Dプリンタ向けのサポートを自動生成するといった機能を備える。
3軸、3+2軸加工機能である「Creo Mold Machining Extension」も追加した。金型製作における高速加工が実現できるという。
他社CADのコラボレーション拡張機能には「Creo Collaboration Extension for Autodesk Inventor」も新たに追加。「Autodesk Inventor」における部品とアセンブリーの双方向連携をサポートする。また、過去バージョンで既に以下4つの他社CADが対応していた。
- Creo Collaboration Extension for CATIA V4
- Creo Collaboration Extension for CATIA V5
- Creo Collaboration Extension for NX
- Creo Collaboration Extension for SolidWorks
同年3月6日にはAR プラットフォーム「ThingWorx Studio」を利用した「Creo AR Design Share」も発表している。CreoからARコンテンツを簡単に生成し、共有できるツールだ。ARデータの編集や、データのアクセスコントロールにも対応する。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 主要7製品を完全網羅! 製品選定・比較に役立つ「商用3D CADカタログ 完全版」
» 【導入事例】食品加工機械メーカー不二精機による“3D CAD推進”
» 設計現場の56.5%が3D CADを活用、2次元からの「移行予定なし」も16.7%
» PTCが語る3D CADの歴史と「Creo」の注目機能
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 失われつつある“設計力”を回復できる職人気質の3D CAD「Creo」
PTCのハイエンド3D CAD「Creo」。その前身である「Pro/ENGINEER」の最初のバージョンがリリースされた1988年から現在に至るまでの歴史と、“設計者が求める設計ツール”のあるべき姿を追求し続け、機能強化を果たしてきたCreoの特長を紹介する。また他の追随を許さない同社の「デジタルツイン」への取り組みに基づく、注目機能なども併せて取り上げる。 - IoTやARとの連携を強化し、イノベーションと品質向上をもたらす次世代3D CAD
PTCジャパンは、3次元設計ソフトウェア「Creo」の最新バージョン「Creo 4.0」を発表した。業界最新のテクノロジーを導入すると同時に、IoTプラットフォームやARソリューションとの連携を強化し、さらなる生産性向上をもたらすという。 - IoT、3Dプリンタ、ARを設計業務で手軽に活用できる「Creo」がもたらす未来
フィジカルとデジタルの融合をテーマに、「Creo 4.0」で実装済みの機能および間もなく提供される新機能について、米PTC CADセグメント シニアバイスプレジデントのブライアン・トンプソン氏が説明。さらに3Dプリンタ連携機能の一環として着手し始めている「トポロジー最適化」についても言及した。 - PTCが3D CADの歴史を振り返る――「Creo」の前身「Pro/ENGINEER」が生まれ、今に至るまで
3D CAD発展の歴史と、PTCの3次元設計ソフトウェア「Creo」の注目機能について、PTCジャパン 製品事業部 CADセグメントディレクターの芸林盾氏がやさしく解説する。 - 4つのネイティブ連携で製造業IoTへの取り組みを加速する「ThingWorx 8」
PTCは、IoTプラットフォーム「ThingWorx」の最新バージョン「ThingWorx 8」について、年次ユーザーカンファレンス「LiveWorx 2017」で発表した。2017年6月8日から提供を開始するという。製造業での活用を前提としたクラウド連携、工場内データ活用、AR体験に関する機能強化に加え、手軽に利用できる製造業向けアプリ群を展開する。