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中華MIPS「龍芯」のアーキテクチャから推理する、MIPS買収の「理由」:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/2 ページ)
Imaginationは分割して売却されることになり、MIPS事業は中国系資本の投資会社に買収されることとなった。中国と言えばMIPSのCPU「龍芯」を既に所有しているが、なぜMIPSを買うのだろうか。アーキテクチャから推理する、MIPS買収の「理由」とは何か。
ほんの数カ月前に書いたばかりなので「またか」と思われそうだが、投資ファンド(Canyon Bridge Capital Partner)に絡んだImagination Technologyまわりの話をしたい(関連記事:Appleの通告は「MIPSの終わり」の始まりか)。
Canyon Bridgeといえば、最近だと、中国政府からの資金提供を受けていることが判明したためトランプ大統領による大統領令を受けてLattice Semiconductorの買収が破談になった事や、その直後にMIPS部門を除くImaginationを7億4250万ドルで買収するといったニュースで注目を集めた。
Latticeに対しては13億ドルのオファーを出しており、結果としてこの13億は支払われる事はなかったから、Imaginationへの7億4250万ドルなど軽いもの……なのかもしれないが、もしトランプ大統領が大統領令を出さなかったとしたら、トータルで20億ドル超の支払いになる。もちろん、2016年に起こった複数の大型買収に比べると金額的に控えめといえば控えめではあるが、無視できない金額である。
話を戻すと、このImaginationの買収に関しては「MIPSコアの入手」という観点から報道されている(関連記事:MIPSコアは中国の手に渡るのか)。
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