連載
Appleの通告は「MIPSの終わり」の始まりか:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(2/3 ページ)
AppleによるImaginationへのIP利用停止宣言は、1981年に産声を上げた「MIPSアーキテクチャ」の終わりを告げるものとなる可能性を秘めている。MIPSの歴史をひもときながら、その行く末を考察する。
「MIPS32」のヒットと没落
再度の独立を果たしたMIPS Technologiesは、プロセッサそのものを売るかつてのビジネスから、プロセッサのIPを売るというARMと同じビジネスモデルに切り替える。幸いにして、既に多くのワークステーションやマイクロコントローラーのベンダーが同社プロセッサベースの製品を世の中に送り出していたから、これらとソフトウェア互換性のあるプロセッサのIPを送り出せば、市場には受け入れられた。
特に、当初同社がリリースした「MIPS32 4Kシリーズ」は180nmプロセスでエリアサイズ2.5平方mm、ほぼR3000と同程度の性能を実現しており、ちょっと複雑な組み込み系プロセッサなどに最適だったのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- WannaCryがあぶり出した「XP」との長くなる付き合い
猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」はWindows OSの脆弱性を利用したもので、Windows XPベースで駆動するATMやPOSにも多数の被害をもたらした。そこからあぶり出されたのは、まだまだ続くXPとの付き合いの長さである。 - 本気で「AIマーケット」を狙う半導体ベンダー
IoTが招く「データの爆発」にAI(ディープラーニング、DNN)で対応する動きが本格化しており、組み込み機器におけるDNNの推論(実行)を担う半導体チップの競争も激化の様相を呈している。 - 群雄割拠のLPWA、2016年度は「種まき」のタイムリミット
IoT向け通信技術として注目を集めている「LPWA(Low Power Wide Area)」だが、複数の規格やサービスが登場しておりさながら群雄割拠の様相を呈している。本格展開はいずれも行われていないが、既に生き残りを賭けた争いが始まっている。 - インターシル買収完了、後戻りできなくなったルネサス
インターシル買収を進めていたルネサスが、その完了と時を同じくして各方面の動きを活発化させている。その動きの理由をインターシルの財務諸表から読み解く。 - Siemensが目指す「エコシステム」の構築
Mentor Graphicsを買収した独Siemensだが、Mentor以外にもさまざまな企業と提携し、単一的な事業構造とならないよう留意している。Bentley Systemsとの電力分野における提携もその1つだ。