2024年11月、Analog Devices(ADI)がFlex Logixを「こっそり」と買収した。両社から何もアナウンスがないというのも、なかなかに珍しい。今回は、Flex Logixがどのような会社で、どのような製品戦略をとってきたのかを、じっくり解説する。
ことし(2024年)は毎月いろいろな出来事があったが、逆に11月は珍しく穏やかというかあまり大きな出来事がなかった(12月はIntelのPat Gelsinger氏の解任から始まった事を考えると、余計に11月の平穏感が際立つ)月ではあるのだが、そんな中で相対的に大きな出来事だったのがAnalog Devices(ADI)によるFlex Logixの買収であろう。アナログ主体の半導体会社によるデジタル半導体会社の買収、というのがまず珍しいし、買収した側、された側ともにその事実を明示的に示していないのも珍しい。
ニュースが報じされたのは11月8日であるが、11月4日にFlex Logixのページを確認した時にはまだ買収の話はどこにもなかったから、多分買収が行われたのはこの後である。ちなみに11月26日にADIは2024年度の決算発表を行っているが、2024年度の決算は2024年11月2日締めということでForm 10-Kも、Q4決算に関するConference Callも、この買収には一切言及していない。買収された側のFlex Logixもトップページに"Flex Logix has sold its technology assets to a large public company that has also hired our technical team."とだけ示しており、なぜか「誰に買収されたのか」を隠しているあたりも、この買収の不思議さを強調しているとは言える。
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