大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
「FPGAの闇落ち」とルネサスのFPGA参入に思うこと(1/4 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2021年11月の動向から、RISC-V Days Tokyo 2021 Autumnで慶応大学の天野英晴教授が語った「FPGAの闇落ち」と、昨今のFPGA事情についてお届けする。
2021年11月18~20日にかけて、RISC-V Days Tokyo 2021 Autumnが開催された。初日のみはオンサイト+オンライン、2~3日目はオンラインのみの開催であり、既にプレゼンテーション・録画とも公開されているので、興味ある方はご覧いただければと思う。
そのRISC-V Days Tokyo 2021 Autumnの初っ端の基調講演で登壇した慶応大学の天野英晴教授のスライドがこちら(図1)。そしていきなり飛び出してきた言葉が「FPGAの闇落ち」である。
「闇落ち」の真意は?
「闇落ち」とはなかなか刺激的なキーワードであるが、この闇落ちのもう少し詳細な定義(?)は、3日目午後の“RISC-Vが混載する新しいFPGA:SLMLET”というセッションの中で、あらためて天野教授から提示された(図2)。
言わんとしていることは理解できる。ちょっと国内の話をすれば、日本では長らくAlteraのFPGAが広く使われていた。実際、全世界的なシェアで言えばXilinxがAlteraを長く上回ってきていたが、なぜか日本に関して言えばAlteraがXilinxを上回るシェアを長年獲得してきており、これが逆転というか世界的なシェアと同じトレンドになったのはここ数年のことである。なぜかと言えば、ずばりIntelによるAlteraの買収である。IntelはAlteraを自社のサーバ向けポートフォリオに組み込む形を目論み、この結果として既存の組み込み向けなどが次第に手薄になってきたことは否めない。また、Intelの14nmプロセスを利用することを決断した結果としてStratix 10の投入が当初の計画より遅れたのも、シェアを押し下げる要因に働いたことは間違いない。こうした結果、特にStratix系の大容量FPGAを利用していたユーザーは、XilinxのVirtexの乗り換えを余儀なくされたというのが正直なところであって、逆に言えばCycloneとかArriaクラスで事足りるユーザーは、引き続きAlteraというかIntelを利用している訳だが、全体としてみるとこのStratix→Virtexの乗り換えが、シェアの逆転につながったという格好だろうか。
ただ現在のIntelが提示しているロードマップでは、StrarixはAgilexに置き換えられていくが、Arria/Cyclone/MAXのグレードは次にどうなるか? という話が一切出てきていない。Intelはそれこそサーバ向けにAgilexを強力に推し進めてゆく訳だが、Arria以下のデバイスについては同社の分類で言えばDCG(Data Center Group)の顧客ではなくPSG(Programmable Solutions Group)ないしIOTGの顧客となる(Agilexの製造そのものはPSGの担当)。DCGの顧客にはPAC(Programmable Acceleration Card)というFPGA搭載拡張カードの形で提供され、一方PSGやIOTGの顧客にはベアチップが提供されるというイメージが一番分かりやすいかもしれない。そしてIntelとして注力しているのは、残念ながらより儲けが多いDCG向けということになる。結果、天野教授の様なPSGの顧客から見れば「Alteraの闇落ち」と映るのは避けがたいだろう。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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