宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(41)
「脆弱性検索エンジン」が必要な理由は(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届け! 今回は、ネットに接続された端末機器がセキュリティ的にどのような状況に置かれているかを考えてみます。
インターネットに接続されているということは、全世界から接続が可能になるということです。多くの場合は「接続してほしい機器だけ接続する」ことが望まれますが、ただそれだけのことが本当に難しいのです。
例えばボットネットを構築するマルウェア「Mirai」や、ランサムウェア「WannaCry」などは、脆弱性が残ったままインターネットに接続しているだけで、マルウェアに感染するリスクがありました。一般的なマルウェアのように利用者がクリックする必要なく感染活動が行われたため、全世界で被害が広がったことは記憶に新しいでしょう。もちろん、そのようなマルウェアとの接続を望んでいた方はいなかったはずです。
インターネット上にはたくさんの端末が接続されています。その中には、脆弱性が残るバージョンのプログラムが今も使われている端末、本来は公開すべきではない情報が露出しているなどの端末も含まれています。今回はそういった機器がどのような状況に置かれているかを考えてみましょう。
インターネットにつながるデバイスには「サーバ機能」がある
あまり意識していないかもしれませんが、インターネットに接続するデバイスのほとんどが、なんらかの端末からリクエストを受ける「サーバ機能」を持っています。オフィスに置かれた複合機などは、管理のためのWebサーバや、受け取ったファイルをプリント出力するためのファイル共有機能、そして受信通知などを送るためのメールサーバ機能が搭載されています。こういったサーバ機能があるということは、私たちがイメージするLinuxサーバと同様、脆弱性もあれば攻撃も行われることにつながります。
ただし、そもそもそういった機器が存在することを知らなければ、攻撃などできません。そのため、攻撃者はIPアドレスなどを基に攻撃できる端末が存在するかどうかをスキャンし、攻撃対象をチェックすることが多いです。
では、そういったハッカーがいなければあなたの管理するデバイスが隠され、安全でいられるのでしょうか。残念ながら、今ではデバイスの状況を収集し、それを検索できるようなサービスが存在するので、隠しているつもりでも簡単に見つけられてしまいます。それがよく報道で名前の挙がる「SHODAN」や「Censys」といった、デバイス情報を集めた検索エンジンです。
これらはインターネット上に公開されている“サーバ”のデータを収集し、それを検索できるようにしたもの。Googleの検索エンジンなどと同じようなことをサーバの公開データに対して行う、特殊な検索エンジンであると考えていいでしょう。詳細な利用方法はここでは省きますが、気になる方は情報処理推進機構によるレポートをご参照ください。
いったい何が収集されているの?
SHODANやCensysによる収集は、なにも「悪意」から行われているわけではありません。そもそも本物のサイバー攻撃者は、一般的に存在する検索エンジンの情報を基にすることなく、独自に(もっと高度な手法で)下調べを行うはずです。これらの検索エンジンは、本来は見えてはいけないもの、見えるべきでないものが「外から見えてしまっている」ことを把握するための、ある意味ありがたいツールであるとも考えられます。
では、その「見えてはいけないもの」「見えるべきではないもの」とはどのようなものでしょうか。例えばバージョン番号、サービスの種類など「バナー情報」があげられます。これは2007年に公開された「セキュリティ対策のある視点」という記事にも取り上げられています。
利用されているプログラムとバージョンの組み合わせが分かってしまうことで、公開されている脆弱性情報から簡単に攻撃を成立できてしまいます。そのため、これらバージョン情報を隠すことは根本的な解決策ではないにせよ、上記のような検索エンジンの存在を考えると「特定のバージョンのまま運用されているサーバに対して、検索結果の上から順番に攻撃を仕掛ける」というような“標的型じゃない攻撃”の対象になる可能性を排除できるかもしれません。
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
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