インドネシアにおける日系製造業のIT事情(5)
IT導入プロジェクトの成功を左右する“3大要素”とは(2/2 ページ)
日本本社によるコンプライアンスの功罪
日本本社からすれば、「海外工場に勝手にやらせて、日本では何をしているか分からない」。そのような状況を避けるべきことは、企業のコンプライアンス上からしても理解できる。しかし、行き過ぎたコンプライアンスには反対だ。
先日もある大手企業のインドネシア工場を訪ねたが、話に出るのは、「あくまで日本本社の方針次第」という言葉だ。現地におり、日本とは異なるインドネシア事情を知る人が、その事情を本社に上申しないで、システムの導入に成功するのだろうか? 答えは否である。こうしたインドネシア工場の典型的な状況は、日本本社から人が来て日本の工場で導入成功したシステムを短期間で導入するというパターンだ。
しかし、短期間での導入は、その後のシステム本稼働には至らない。最悪の場合、もともとのExcel運用に戻ってしまうか、その時の日本人駐在者が帰国した時点で、あやふやな結果となるのがオチだ。
では、どうすれば成功するのか?
良い製品を選択し(必ずノンカスタマイズ製品)、良いパートナーを選べた(製造業に詳しいSEのいる会社)として、顧客のプロジェクト体制はどうするか? 当社製品の場合、生産スケジュールの作成という限定された業務への適用となる。その点、生産管理システムなどの基幹システムの導入と比較すると関係者が少ない。よって、基幹システムの導入にかかるような工数、期間と比較すると当社製品の場合、短期間で導入できる。
しかし、生産スケジューラは生産スケジューラ導入なりの越えなければならない壁が2つある。1つは、これまで現在の生産スケジュールをExcelで作ってきた人間の抵抗である。もう1つは、製造現場の人間が生産スケジューラからの指示通りに実際のモノづくりをするかどうかの問題だ。
生産スケジュールは、歴史のあるインドネシア工場ほど、インドネシアのスタッフのみで長く運用されてきており、日本人の駐在員(少なくとも3~5年で日本に帰ってしまう)には未知の世界であるケースが多い。もちろん、スケジュール結果は押さえていると思うが、それまでの仕組みを理解していないというのが現実だ。
生産スケジューラの導入に関していえば、必ず、インドネシア人を主体に顧客のプロジェクトも、導入会社のメンバーも構成することが不可欠だ。また、既存の生産計画者の代わりに若手で、新しくこの業務にかかわる人間を生産管理部、製造部のメンバーとしてプロジェクトに入れるとより良いだろう。“新しいぶどう酒は新しい革袋に入れるべき”ということだ。
次回は、インドネシアのIT業界でも、イノベーションのレトリックというか? レガシーシステムの呪縛がない故に、新しいトレンドのシステムが入ってきている。例えば、AI技術を利用したそれだが、そうしたシステムの現状をご報告したい。(次回に続く)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 「カイゼン」を中心にデータ活用が進む製造業、課題はROIと人材
» 77.3%が“つながる工場”実現に向けて取り組みを開始――経営層も投資に意欲
» PTCはIoTベンダーになったのか? CAD、PLMユーザーに向けたメッセージ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
インドネシアにおける日系製造業のIT事情
インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポートする。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
2
次世代の機器設計に向けたCADソフトウェア選定 適切な製品を見極める秘訣とは
-
3
Waymoの自動運転技術に迫る
-
4
ナフサショックの影響が分かる記事まとめ(Part1)
-
5
IMUを活用してロボットの位置推定を強化、より高精度なナビゲーションが可能に
-
6
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
7
2026年版半導体生存戦略:AI時代の勝敗を分ける4つの「分岐点」とは?
-
8
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
9
ものづくり白書2026を読み解く
-
10
「OTサイバーセキュリティ」レポート:現在の状況と重要なインサイトを解説
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー